ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゼフィリヌス」の意味・わかりやすい解説
ゼフィリヌス
Zephyrinus
[没]217頃. ローマ?
ローマ出身とされる第15代教皇(在位 199頃~217)。聖人。下層階級の家庭に生まれた。ビクトル1世(在位 189頃~198/199)の後継者として登位し,自身の後継者となるカリクスツス1世(在位 217?~222)を助祭に任じたと伝えられている。在位中,モナルキアニズム(三位一体に関する異端の説)が広まりつつあり,のちに最初の対立教皇となるローマの司祭ヒッポリツスはこれを押さえ込もうとしていたが,ゼフィリヌスはモナルキアニズムを否定せず,ヒッポリツスが熱烈に信奉するロゴス論(三位一体のペルソナの区別を強調する説)を支持することもなかった。このため両者は対立し,キリスト教史における初の教会分裂をみることとなった。ゼフィリヌスに関するおもだった史料は,ヒッポリツスの著書『哲学的思想』Philosophoumenaのみである。祝日は 8月26日。
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