カリセッケン(読み)カリせっけん(その他表記)potash soap

改訂新版 世界大百科事典 「カリセッケン」の意味・わかりやすい解説

カリセッケン(石鹼) (カリせっけん)
potash soap

高級脂肪酸カリウム塩からなる特殊なセッケンの一つ。軟質でのり状を呈するので軟セッケンsoft soapともいう。セッケンは油脂アルカリでケン化し,グリセリンと脂肪酸アルカリ塩(セッケン)としてつくられるが,一般のセッケンはアルカリとして水酸化ナトリウムを使用し,ケン化反応後,塩析してセッケンとグリセリンを分離する。水酸化カリウムを用いたカリセッケンの場合には塩析が困難であるため,グリセリンとの混合状態のまま冷却,固化させる。このためカリセッケンは軟らかく吸湿性がある。皮膚に対して刺激の少ないことから薬用,化粧用に家庭用特殊セッケンとして用いられ,また工業用にも使用されている。
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百科事典マイペディア 「カリセッケン」の意味・わかりやすい解説

カリセッケン(石鹸)【カリせっけん】

油脂を水酸化カリウム溶液でケン化(エステル加水分解)し,塩析を行うことなく冷却,固化して作ったセッケン。加里石鹸とも書く。軟質で糊(のり)状を呈するので軟セッケンともいう。刺激が少なく化粧用,家庭用,工業用,薬用になる。
→関連項目化粧セッケン(石鹸)セッケン(石鹸)

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世界大百科事典(旧版)内のカリセッケンの言及

【セッケン(石鹼)】より

…生成したセッケンの分離,加工工程はケン化法と同様であるが,中和法は自動的に計量された脂肪酸とアルカリを連続的に乳化,中和してセッケンが製造されるので,ケン化法よりはるかに諸効率が向上している。 苛性カリを用いた脂肪酸カリセッケンの場合は塩析による脱水・分離が行われにくいため,通常は塩析を行わずににかわ状のまま製品とする。このため軟セッケンともいわれる。…

※「カリセッケン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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