カンコノキ(英語表記)Glochidion obovatum Sieb.et Zucc.

改訂新版 世界大百科事典 「カンコノキ」の意味・わかりやすい解説

カンコノキ
Glochidion obovatum Sieb.et Zucc.

暖地の海辺に生育するトウダイグサ科の落葉低木。高さ1~7mになる。和名倒卵形の葉をかんこ舟(漁に使われた小舟)にみなしたものといわれ,転じてカッコウギともいう。雌雄異株で,7~10月ころ,小さな淡緑色の花を葉腋(ようえき)に数個つける。果実は,黄赤色の種子の入った扁球形の蒴果(さくか)。短枝の先はときにとげとなる。材は黒色で,櫛や印鑑などの材料として用いられ,コクタンノキとも呼ばれる。紀伊半島,山陽,四国,九州,沖縄に分布する。

 カンコノキ属Glochidionは熱帯アジアを中心に約150種あまりも知られており,中国で算盤子(さんばんし)の名で薬用にするG.pube-ruim(L.)Hutch.や若芽を食用にするG.rubrum Bl.などの種が含まれ,地方的な民間薬としても利用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンコノキ」の意味・わかりやすい解説

カンコノキ
かんこのき
[学] Glochidion obovatum Sieb. et Zucc.

トウダイグサ科(APG分類:コミカンソウ科)の落葉低木ないし小高木。高さ1~2メートルで、5メートルになるものもある。小枝の先端はよく分枝する。葉は倒卵形、基部はくさび形、葉形は変化に富み、互生する。雌雄異株。夏、小さい淡緑色の花を多数葉腋(ようえき)に束生する。花は萼(がく)、花弁の区別がなく、6枚の花被(かひ)があり、雄花は3本の雄しべ雌花は1個の子房がある。蒴果(さくか)は扁卵(へんらん)形で秋に熟して裂開し、種子は橙赤(とうせき)色。本州の伊豆半島以西、四国、九州から沖縄までの海近くの林中に生える。台湾、中国南部にも分布する。

[古澤潔夫 2020年6月23日]

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