改訂新版 世界大百科事典 「カンピドリオ」の意味・わかりやすい解説
カンピドリオ
Campidoglio
古代ローマ市の守護神ユピテルとユノ,ミネルウァの3神を祀る神殿,およびその神域となっていたローマ市の七つの丘の一つ。別名カピトリーノCapitolino。ラテン語のカピトリウムCapitoliumから出る。市の中心広場フォルム・ロマヌムの北西側にあり,ローマの将軍は凱旋の際に必ずここに参詣した。神殿は前509年にエトルリア風の形式で建設されて以来,幾度も修復され,なかでも後1世紀半ばには全面的に改築,また東側にはタブラリウム(公文書館)なども付設されたが,3神それぞれを祀る三つのケラ(房室)を持つ独自の平面形式(ウィトルウィウスの言う〈トスカナ式〉神殿)は,そのまま保持され続けた。ローマ帝国崩壊後は廃墟となり,中世以来ローマ市会が境内のタブラリウム跡地に居を占める。16世紀に入ってミケランジェロの設計により,市会議事堂と公証人役場,そしてフォルム・ロマヌムなどからの出土品を収める博物館の三つの建物が広場をとり囲むかたちができ上がり,広場の中央には,それまでラテラノ広場に置かれていたローマ時代(2世紀)作のマルクス・アウレリウス帝騎馬像が据えられた。この広場には古代と違って西側から階段で登ってゆくようになっており,ふりかえるとバチカンが遠望できるようにつくられている。ミケランジェロの都市計画的な作品として重視される。
執筆者:福田 晴虔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報