カールリー石窟(読み)カールリーせっくつ(英語表記)Kārlī

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カールリー石窟」の意味・わかりやすい解説

カールリー石窟
カールリーせっくつ
Kārlī

インド西部,ムンバイ (ボンベイ) の東南方約 140kmのカールリーにある,2世紀初頭に造営された仏教石窟群。中心に位置するチャイティヤ (祠堂) 窟は,インドにおける古代初期の仏教石窟として最大で非常に均整のとれた内部空間をもつといわれ,保存状態もきわめてよい。規模は幅 13.8m,奥行 37.9m,高さ 13.7m。正面の上部に窓を,下部に3つの入口を開き,入口とその前方左右の壁面に男女1対の供養者像,象の半身などの浮彫を施している。特に供養者像は素朴な力強さを示す丸彫に近い作品で,古代初期仏教彫刻の傑作。窟内は 39基の列柱により身廊側廊とに分れ,身廊の最奥部にストゥーパ (仏塔) を置く。窟の内外には造営年代を推定させるいくつかの銘文が残っている。このチャイティヤ窟の向って右には3階構成のビハーラ (僧房) 窟がある。各階とも中央に広間,その周囲に小室を配置する形式で,列柱はない。またチャイティヤ窟の向って左には,若干の小規模なビハーラ窟貯水槽の跡などがみられる。

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