広間(読み)ヒロマ

精選版 日本国語大辞典 「広間」の意味・読み・例文・類語

ひろ‐ま【広間】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 会合来客の接待などに用いる広い座敷。特に、桃山時代後半から江戸時代にかけての書院造りの表座敷をさす。
    1. [初出の実例]「ひさしの中の間に、御座二畳ならべて、ひろまのはしに切畳」(出典:たまきはる(1219))
  3. 江戸時代の大名・貴族などの屋敷で、玄関の次に設けられた部屋。
    1. [初出の実例]「広間(ヒロマ)に相詰御出でを相待申」(出典:仮名草子・身の鏡(1659)上)
  4. 近世、江戸城の大奥にあった一室の名。上下段に続く座敷。また、一般の大名屋敷でも、これに準じた奥の一室をさすこともある。
    1. [初出の実例]「丹州亀山の城主につかへて、やうやう広間(ヒロマ)の番組に入」(出典:浮世草子・武家義理物語(1688)一)
  5. 近世、町奉行所の大広間。また、町奉行所。
    1. [初出の実例]「染物屋御広間へ願ひ申、金子の主なる証拠に、財布のやうす、〈略〉こまかに相のべぬ」(出典:浮世草子・商人職人懐日記(1713)五)
  6. 広い部屋。大部屋。ホール。
    1. [初出の実例]「次の広間に行ってビラなどを見た」(出典:田舎教師(1909)〈田山花袋〉一五)
  7. 四畳半以上の広さの茶室。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の広間の言及

【茶室】より

…利休,宗旦の茶風を継承した千家の茶も,江戸中期には転期を迎え時流との調和を図らねばならなかった。七事式という新しい学習法が考案され,広間の茶室が流行するようになった。茶の湯にも立派が盛んとなり諸流が競いはじめたころ,松平不昧(まつだいらふまい)は,〈諸流皆我が流〉と達観し,古典を尊重し,諸流の総合の上に独自な茶境を形成した。…

※「広間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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