改訂新版 世界大百科事典 「ガッチサーラーン油田」の意味・わかりやすい解説
ガッチサーラーン油田 (ガッチサーラーンゆでん)
Gach Sārān
イラン南西部にある油田。ザーグロス山脈の山麓部には北西~南東方向の長大な背斜系列が存在し,大小多数の油田が分布しており,フージスターン油田群と総称される。アフワーズ(究極可採埋蔵量150億バレル,世界第11位),マールーンMārūn(144億バレル,14位),ガッチサーラーン(150億バレル,11位),アーガー・ジャーリーĀghā Jārī(140億バレル,15位)は代表的な巨大油田である。ガッチサーラーン油田は1927年に発見されたが,生産開始は40年で,パイプラインでカーグ島へ送油される。主要油層は第三紀漸新世~中新世のアスマリ石灰岩層で,上部の石灰岩は浅海成の礁状堆積物であるが,下部は苦灰岩化した石灰岩である。孔隙率は8~10%ときわめて小さいが,フラクチャーの発達や水圧破砕法の適用によって生産能力は1万5000~2万5000バレル/日となっている。油質は比重31.1°API,硫黄分1.68%で,他の油田の原油とブレンドされてイラニアンヘビーのブランドで輸出されている。
執筆者:加藤 正和
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