日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガム星雲」の意味・わかりやすい解説
ガム星雲
がむせいうん
Gum Nebula
南天にあるほ座を中心に、とも座まで広がる淡い超新星残骸。オーストラリアのガムC. S. Gum(1924―1960)によって発見された。近距離(約700光年)にあるために、天球上で40度角以上と大変大きく広がっており、しかも淡い構造であるので、くふうして撮影した広角写真以外では見ることができない。ガム星雲を生んだ超新星爆発は今から約1万2000年昔に起きたと推定されている。強力な電波をパルス状に発する「ほ座パルサー」はこの超新星爆発でできたと考えられており、「かにパルサー」とともに、超新星爆発で中性子星ができる証拠となっている。空の広い範囲に広がっているため、他の超新星残骸、発光星雲、暗黒星雲などが重なり合っており、きわめて複雑かつ興味深い様相を呈している。
[岡村定矩]