超新星残骸(読み)チョウシンセイザンガイ(その他表記)supernova remnant

デジタル大辞泉 「超新星残骸」の意味・読み・例文・類語

ちょうしんせい‐ざんがい〔テウシンセイ‐〕【超新星残骸】

超新星爆発の後に残る星雲状の天体。大きさはおよそ数光年から100光年程度で、球殻状のものが多い。超新星爆発の衝撃波により元の星を構成していた物質や周囲の星間物質が加熱され、その温度は100万ケルビン以上になり、大きく広がるに従い、温度が下がり暗くなる。元素が放つ輝線(主に可視光線紫外線X線)のほか、磁場中を高速運動する電子が放つシンクロトロン放射電波)、衝撃波で加速された粒子が放つと考えられるγ線などが観測される。また内部に残された中性子星パルサー)のジェット電磁波により励起されるものもある。代表的なものとして、牡牛座蟹星雲白鳥座網状星雲が知られる。SNR(supernova remnant)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「超新星残骸」の意味・わかりやすい解説

超新星残骸
ちょうしんせいざんがい
supernova remnant

超新星爆発によって吹き飛ばされた星の外層が光って見えるもの。外層のガスは衝撃波で吹き飛ばされ1000万度もの高温となり、秒速数千キロメートルもの高速度で膨張し、周囲の星間物質と衝突する。衝突によってさらに高温になることがある。一般には爆発は球対称に近く、超新星残骸は時間が経つと球殻状に見えるものが多いが、周囲の星間物質の状況次第で、かに星雲に見られるようなフィラメント構造を示すこともある。超新星残骸の可視光スペクトルは、水素ヘリウム窒素酸素ネオン硫黄などさまざまな元素の輝線からなる輝線スペクトルである。高温度のガスからは可視光以外に強いX線も放射され、また、シンクロトロン放射による電波も放射される。超新星残骸の中には、中性子星であるパルサーが残されていることがある。かに星雲中にもパルサーがあり、超新星爆発によって中性子星ができることが実証された最初の例である。

[岡村定矩]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「超新星残骸」の意味・わかりやすい解説

超新星残骸
ちょうしんせいざんがい
supernova remnant

超新星爆発によって吹き飛んだ星の物質が,高速で膨張し星間物質と衝突してつくる殻(シェル)状の星雲。超新星残骸の中心には中性子星ブラックホールが取り残されるが,中性子星は極方向からジェットを噴き出すために高速度で移動してしまう。おうし座かに星雲,カシオペアA,ティコやケプラーの超新星残骸などがある。電波,可視光,X線などさまざまな電磁波で観測されている。(→超新星

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