ほ座(読み)ほざ

改訂新版 世界大百科事典 「ほ座」の意味・わかりやすい解説

ほ(帆)座 (ほざ)
Vela

略号はVel。南天の大星座。ギリシア伝説の遠征船アルゴをかたどったアルゴ座プトレマイオスの星表に記載されているが,あまりに広大な天域を占めるので,フランスの天文学者N.L.ラカイユによりほ(帆),とも(艫),らしんばん(羅針盤),りゅうこつ(竜骨)の4星座に分割された。ほ座はもとのアルゴ座の東部分を占める。冬の天の川のほぼ中央に位置するが,日本では一部地平線下にかかる。光度2等のλ星以外は目につく星はない。南辺のδ星,κ星はりゅうこつ座ε星,ι星とともに四辺形をつくるが,みなみじゅうじ星に先立ってのぼり,これと見まちがわれることがあるので〈にせ十字〉とも呼ばれる。概略位置は赤経 9h30m,赤緯-45°。午後8時の南中は4月上旬である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ほ座」の意味・わかりやすい解説

ほ座
ほざ / 帆座

18世紀のフランスの天文学者N・L・ラカイユが、アルゴ座を4分割したものの一つらしんばん座の南、りゅうこつ座の東に接し、晩冬の宵の南の地平線上に姿を現す。沖縄方面ではその全景を見ることができる。とも座から南十字星に至る天の川の中にあり、輝星のにぎやかな星座だが、帆の形を連想するのはすこしむずかしい。なお、ほ座κ(カッパ)星とδ(デルタ)星、りゅうこつ座ε(イプシロン)星とι(イオタ)星の4個の星を結んでできる十字形を、南十字星によく似て見間違えやすいというので「にせ十字」とよんでいる。星座全体をガム星雲とよばれる超新星爆発名残(なごり)の星雲が覆っているが、肉眼では見えず、写真でのみその姿を認めることができる。

[藤井 旭]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ほ座」の意味・わかりやすい解説

ほ座
ほざ
Vela

帆座。1752年にニコラ・ルイ・ド・ラカイユにより四つに分割されたアルゴ座の一つ。概略位置は赤経 9時30分,赤緯-45°で,おおいぬ座南東に,とも座,ほ座と続く。4月の宵に南中するが,日本からは一部分しか見えない。天の川の中に位置し,多く散開星団超新星残骸と考えられる星雲やパルサーがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ほ座」の意味・わかりやすい解説

ほ(帆)座【ほざ】

3月ごろの夕方,南天低く見える星座。アルゴ座を4分割した一つ。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android