日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガリチン」の意味・わかりやすい解説
ガリチン
がりちん
Борис Борисович Голицин/Boris Borisovich Golitsin
(1862―1916)
ロシアの地震学者。ペテルブルグの貴族の家系に生まれる。海軍兵学校および同大学校を卒業したが、任官条件に関する意見の相違から、ペテルブルグ大学で学ぶつもりで海軍を去った。当局の甚だしい干渉のために1887年、当時ドイツ領だったストラスブルク大学に入学して物理および数学を学んだ。その後ノバヤ・ゼムリャの皆既日食(1896年8月9日)の観測を行い、さらに島内の地磁気や気象を観測した。1899年ブレーメンの地震学会に列席したのを契機に地震の研究に熱中し、精密理学としての地震学の急速な発達に寄与した。電流計記録の電磁地震計やピエゾ電気応用の加速度地震計などの独創的な発明をするとともに、地震観測網整備その他に組織力を発揮した。1909年ペテルブルグ府の上級女子大学生コースの教授となり、終生熱力学を講じた。
[松澤武雄]