がん抑制遺伝子(読み)がんよくせいいでんし(英語表記)tumor suppressor gene

知恵蔵「がん抑制遺伝子」の解説

がん抑制遺伝子

正常細胞が正常であり続けるために必要で、その存在が結果としてがんの発生を抑えていると考えられる遺伝子。がん抑制遺伝子の「抑制」がはずれるためには、父母からの1対の遺伝子の両方が働かなくなることが必要。がん遺伝子活性化とがん抑制遺伝子の不活性化、転移に関係する遺伝子の発現など、多数の遺伝子が関与し、段階を経てがんが発生する(多段階発がん)と思われる。がん抑制遺伝子の1つであるp53遺伝子は、ほとんどのがんに高い頻度で異常が発見される。APCがん抑制遺伝子は、大腸ポリープ大腸がん胃がん膵がんなどの発生に重要な役割を果たしている。これまでに分離されたがん抑制遺伝子は20種以上。

(黒木登志夫 岐阜大学学長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

化学辞典 第2版「がん抑制遺伝子」の解説

がん抑制遺伝子
ガンヨクセイイデンシ
tumor suppressor gene

細胞に不都合が起こったとき,たとえば放射線によりDNAが切断されたとき,細胞の分裂を止め修復が不可能なときはアポトーシスにより死に至らしめる仕組みが備わっている.この過程に関与するタンパク質がん細胞増殖を抑えるので,がん抑制遺伝子とよばれる.これが変異するとがんになりやすくなる.典型例が転写調節因子p53で,ヒトのがんの約50% でp53の変異が検出されている.乳がん卵巣がんになりやすい家系で変異が見いだされているBRCA1,BRCA2遺伝子も,がん抑制遺伝子である.[別用語参照]がん遺伝子

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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