化学辞典 第2版 「がん遺伝子」の解説
がん遺伝子
ガンイデンシ
oncogene
変異すると細胞のがん化につながる遺伝子.正常な状態では,細胞の分裂や増殖の制御にかかわるタンパク質(成長因子などのアクセル役や転写抑制因子などのブレーキ役)で,がん遺伝子というと誤解を与えやすいので要注意.厳密には,変異してがん化能を獲得した遺伝子をオンコジーン,正常なもとの遺伝子をプロトオンコジーンという.上記ブレーキ役のタンパク質は正常な状態では不都合な細胞(がん細胞など)の分裂を抑えるので,がん抑制遺伝子ともよばれる.プロトオンコジーンとしてはRas,がん抑制遺伝子としては転写調節因子p53や網膜芽細胞腫(retinoblastoma)で同定されたRbが有名である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報