キゴケ(その他表記)Stereocaulon exutum Nyl.

改訂新版 世界大百科事典 「キゴケ」の意味・わかりやすい解説

キゴケ
Stereocaulon exutum Nyl.

山地道端の岩上に生える樹枝状地衣。枝(偽枝柄)は根もとで数本に枝分れして高さ5~8cmとなり,上部でさらに数回分枝する。枝はやや扁平で,片側にサンゴ状の小枝(棘枝)を密生し,もう一方の側は裸出する。共生藻緑藻で,枝のところどころに粒状で暗褐色の頭状体をもち,中にラン藻類のネンジュモ属を含む。子器は枝の頂端に生じ,皿形,褐色で直径1~3mm。胞子は針状で無色8室。北海道から九州まで分布する。キゴケ属Stereocaulonは日本特産で,32種がある。枝が1~2cmと短く,短い円筒状の棘枝をもつ低地性のヤマトキゴケS.japonicum Th.Fr.,枝が群生し,大型で葉状の棘枝をもつ高山性のヒロハキゴケS.apocalypticum Nyl.ex Midd.等がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キゴケ」の意味・わかりやすい解説

キゴケ
きごけ
[学] Stereocaulon exutum Nyl.

地衣類キゴケ科の代表的な1種。山地の乾きやすい岩上に生え、地衣体は灰白色で小さいが、これから立ち上がる子柄は高さ3~8センチメートル、直径2ミリメートルくらいになり、多数の小さな枝状のものを出す。全体としては小形の低木状になる。子器は枝の先につき、茶褐色の崩れた半球状である。分布は本州から九州にかける。

 キゴケ科キゴケ属全体の総称名としてキゴケということもある。日本にはキゴケ属として約30種が知られ、いずれも岩上に生育し、灰白色で、樹枝状の体制をしている。ヤマトキゴケS. japonicumは低地から山地に多く、子柄の高さは1~4センチメートル、片側から刺(とげ)状の枝が密に出る。子器は暗褐色。ミヤマキゴケS. curtatumは高山の風当たりの強い岩上に生え、子柄の高さは1~1.5センチメートルと小形。オオキゴケS. sorediiferumは低地に多く、子柄の高さは3~9センチメートルになり、粉芽をつけることが多い。

[佐藤正己]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キゴケ」の意味・わかりやすい解説

キゴケ(樹苔)
キゴケ
Stereocaulon exutum

ハナゴケ科に属する樹状地衣類の1種。地衣体は岩石地表に固着する。樹状に分岐し,灰褐色または灰緑色で,高さ3~6cmの子器柄となる。子器柄の先端赤褐色または黒褐色半球状の子器を生じ,中に棍棒形,8胞子の子嚢を生じる。北海道から本州にかけて知られる日本の特産種

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