改訂新版 世界大百科事典 「キャスタブル耐火物」の意味・わかりやすい解説
キャスタブル耐火物 (キャスタブルたいかぶつ)
castable refractory
流し込み施工する耐火物をいう。耐火物を粉砕した骨材に結合材としてのアルミナセメント(ときにリン酸塩やケイ酸ナトリウム)を配合したもので,いわゆる耐火コンクリートとして使用される。骨材には種々の耐火物が用いられるが,多くは粘土質,高アルミナ質のものを使用する。耐火性,耐熱性を目的とするキャスタブル耐火物と,軽量,断熱性を目的とする軽量キャスタブル耐火物がある。施工時に必要な水を添加し,型枠を用いて流し込むが,大容積のものになると補強材を使用して,炉殻につなぎとめ,荷重を分散させて強固な構造とする。加熱面が1000℃以上になる場合には耐火物のアンカータイルを,それ以下の場合には金属製のアンカーメタルを補強材として使用する。施工後は一定時間(24時間以上)養生して硬化させ,その後ゆっくり加熱し,亀裂,剝離を起こさないように乾燥,脱水して使用する。水硬性を利用して硬化させるので,脱水は非常に重要な要件である(はなはだしい場合は爆裂現象を起こすので注意を要する)。ボイラーなどのような複雑な構造の窯炉に用いられて効果を上げ,また補修にも便利な場合があり,広く活用されるようになっている。
執筆者:西川 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報