ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キリル1世」の意味・わかりやすい解説
キリル1世
キリルいっせい
Kirill I
ロシア正教会(ギリシア正教)総主教。本名 Vladimir Mikhailovich Gundyaev。レニングラード神学アカデミーの学生だった 1969年,キリルの修道名を与えられた。1970年神学アカデミーを卒業,同校で 1年間教義学を教えたのち,1971年スイスのジュネーブに本拠を置く世界教会協議会のロシア正教会代表に任命された。1974年にロシアに戻り,1984年までレニングラード神学アカデミーの学長を務めた。1988年にスモレンスクとカリーニングラード教区の大主教に就任,1991~2009年同教区の府主教を務めた。2009年ロシア正教会の長であるモスクワおよび全ロシアの総主教に就任。ロシア正教会は前任のアレクシー2世のもとで,原則として宗教を認めない共産主義国家の崩壊に伴い,教会の刷新と大きな発展を遂げてきた。キリルも同様に,ロシア正教会が国民の生活に積極的にかかわるべきだと明言。10年以上にわたり,週1回宗教的話題を取り上げるテレビ番組に出演し,改革派としても高く評価された。総主教就任に際し,1000年に及ぶローマ・カトリック教会(→カトリック)との不和解消に向けて積極的な対話を行なっていきたいと述べ,2016年2月,ロシア正教会総主教として初めてローマ教皇フランシスコと会談した(→東西両教会の分裂)。
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