スモレンスク(読み)すもれんすく(英語表記)Смоленск/Smolensk

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スモレンスク」の意味・わかりやすい解説

スモレンスク
すもれんすく
Смоленск/Smolensk

ロシア連邦西部、スモレンスク州の州都。ドニエプル川上流の丘陵地帯にあり、市街両岸に広がっている。人口35万5700(1999)。ドニエプル川下流、西ドビナ川、ボルガ川の各流域を結ぶのに便利な位置にあるため古くから開け、町の起源はキエフ時代(9~12世紀)にさかのぼる。戦略上の要地として、17世紀初頭のポーランドとの戦争、1812年のナポレオン軍との戦争、第二次世界大戦における1941年のドイツ軍との戦闘など、しばしば外国勢力の攻撃の的となり、被害を受けた。とくに第二次世界大戦中の41年7月から43年9月までドイツ軍に占領され、市街のほとんどが破壊された。このときドイツ軍に押収された文書で、のちに共産党独裁下の統治が研究された。戦後復興し、現在は発展著しく、州の工業、文化の中心地となっている。主要な工業は機械、食品、繊維、建設資材工業である。また、医科、体育、教育の各大学、ドラマ劇場、人形劇場、郷土博物館などの教育・文化施設がある。旧市街はドニエプル川左岸の丘陵にあり、12世紀建造のペテロ・パウロ聖堂、ビルスカヤ聖堂などの歴史的建造物のほか、行政・文化施設がある。右岸には工業企業が多い。緑地多く、ロシアで美しい町の一つといわれている。市はまた交通の要地で、鉄道ハイウェー分岐点であり、河港をもっている。

[外川継男・中村泰三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スモレンスク」の意味・わかりやすい解説

スモレンスク
Smolensk

ロシア西部,スモレンスク州の州都。モスクワの西南西約 400kmにあり,ドネプル川上流部にのぞむ。ロシア最古の都市の一つに数えられ,863年から記録に現れる。ドネプル川と西ドビナ川を結ぶ交易路と,モスクワ地方と西ヨーロッパを結ぶ交通路とを押える要地にあったため,12世紀にスモレンスク公国の首都となり,交易中心地として繁栄したが,その繁栄のゆえに周辺諸国からしばしば攻撃の対象となった。特に 13世紀から数世紀間リトアニア,ポーランドとモスクワ公国との間で争奪が行われ,1654年ロシアの支配下に入った。市内およびその周辺では 1812年ナポレオン軍と,1941,43年ドイツ軍との間で激戦が行われ,市街は大きな被害を受けた。その後復旧し,12世紀建造のペテロ・パウロ聖堂やスビルスカヤ聖堂も再建された。 16~17世紀には市は手工業,商業の大中心地となっていたが,現在は機械 (道路建設用機械,電機) ,繊維,縫製,食品 (製粉食肉) などの工業が発達する工業都市として,また医科,教育,獣医科の各大学,人形劇場などのある文化・教育の中心地として発展している。鉄道の分岐点で,河港もある。人口 32万6863(2010)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報