日本大百科全書(ニッポニカ) 「キングヘビ」の意味・わかりやすい解説
キングヘビ
きんぐへび
king snake
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科キングヘビ属に含まれるヘビの総称。この属Lampropeltisの仲間は無毒ヘビであるが、毒ヘビを捕食することで知られる。カナダ南東部、アメリカ合衆国、メキシコからエクアドルまでに約16種と多くの亜種が分布。そのうちミルクヘビL. triangulumは合衆国西部を除く分布域に生息し、ヘビではもっとも分布の広い種で、20余りの地方型に分けられる。
キングヘビ類は赤、黄、黒などの鮮やかな横帯をもち、大半が全長1~1.5メートル、森林、草原、乾燥地にすみ、ヘビ、トカゲ、ネズミ、鳥やカメの卵などを餌(えさ)とする。すべて卵生。胴で締める力が強く好んでヘビを捕食し、毒ヘビのガラガラヘビも対象に含まれている。斑紋(はんもん)が美しく人にもなれるためペットとして人気があるが、複数を飼うときにはサイズの小さなヘビは食べられることがあるため同居させられない。スカーレットキングヘビL. t. elapsoidesなどミルクヘビの亜種には、斑紋が毒ヘビのアメリカサンゴヘビMicrurus fulviusに類似したものがあり、擬態の一例とされる。
[松井孝爾]