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擬態 ぎたいmimicry; mimesis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

擬態
ぎたい
mimicry; mimesis

動物が,周囲の事物やほかの動物によく似た形をもっていること。敵の攻撃を避けるのに役立つと思われる。小枝に似た尺取虫ナナフシ,木の葉に似たコノハチョウなど昆虫にその例が多い。またアリに似たクモや花びらに似たカマキリなどのように,攻撃に役立つと思われる態もある。しかし人間の目からみての解釈なので,実際にはその機能がどの程度働いているか不明の場合も少くない。

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知恵蔵の解説

擬態

動物の色や形が何かほかのものに似ること。背景に似せて目立たなくするものを隠蔽的擬態(ミメシス)、逆に目立つことによって敵や獲物を欺くものを標識的擬態(ミミクリー)という。前者には保護色や隠蔽色が、後者には、毒をもつ種をまねる警告色などのベーツ型擬態、何種類かの動物が同じような色や形をもつことで敵を欺くミュラー型擬態、餌をおびき寄せるためのペッカム型擬態がある。なお、植物にも食虫植物が花に似せた葉をもったり、ハチの雌に似せた花で雄バチを招き寄せるラン科植物などの擬態が知られている。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

ぎ‐たい【擬態】

他のもののようすや姿に似せること。
動物が、攻撃や自衛などのため、体の色・形などを周囲の物や動植物に似せること。コノハチョウが枯れ葉に似せて目立たなくしたり、アブが有害なハチに似せて目立つ色をもったりすることなど。

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百科事典マイペディアの解説

擬態【ぎたい】

動物が他物に類似した色や形,または姿勢をもつこと。その機能によって大きく隠蔽的擬態と標識的擬態に大別される。前者は保護色ともいい,シャクトリムシやナナフシが木の枝に似たり,タツノオトシゴが海藻に似るように周囲の環境の中にとけこむ効果をもつものである。
→関連項目ナナフシ

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デジタル大辞泉プラスの解説

擬態/カムフラージュ

米国の作家ジョー・ホールドマンの長編SF(2004)。原題《Camouflage》。ネビュラ賞長編部門受賞(2005)。

擬態

北方謙三の長編ハードボイルド小説。2001年刊行。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎたい【擬態】

ある種の生物が自分以外の何物かに外見(色,模様,形)やにおい,動きなどを似せることにより,生存上の利益を得る現象をいう。その機能によって隠蔽的擬態,標識的擬態,種内擬態などが区別される。
[隠蔽的擬態mimesis]
 保護色ともいい,外見を周囲の色や模様に似せて外敵から隠れるものをさす。枯葉に似た羽をもつコノハチョウや樹幹と同じ模様のヤガの仲間,小枝と見分けのつかないシャクトリムシなどは保護色の例である。

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大辞林 第三版の解説

ぎたい【擬態】

別のものの様子に似せること。
動物が周囲にある物や、他の動植物に似た形や色彩または姿勢をもつこと。隠蔽的擬態と標識的擬態がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

擬態
ぎたい

生物が、ほかの生物や無生物などとそっくりの形や色彩、行動をもち、第三者をだます現象。一般に擬態とよばれているものには、まったく逆の効果をもつ二つのタイプが含まれている。だまされる者に対して自らを目だたなくする隠蔽(いんぺい)的擬態(模倣)と、逆に自らを広告する標識的擬態とである。後者のみを擬態とよぶべきだとする立場もある。
 隠蔽的擬態は、小枝とそっくりのシャクトリムシや、海藻と紛らわしい突起物と色彩をもったタツノオトシゴなど、基本的には背景に自らを溶け込ませる隠蔽色(保護色)の範疇(はんちゅう)に含めることができる。だまされる者は多くの場合擬態者にとっての捕食者であるが、逆に餌(え)動物の場合もある。
 標識的擬態の代表例としては、有毒・有害ではでな色彩(捕食者に対する警告色)をもった生物にまねて捕食者をだますベイツ型擬態がある。ハチとそっくりのアブやガなど昆虫相互間はもとより、さまざまな動植物間でみられる。似ている者どうしがともに味の悪いチョウの場合などはミューラー型擬態とよぶ。ただしこの場合、どちらがモデルであるかを知ることはむずかしく、またいずれもがもともと捕食を免れているはずで、第三者(捕食者)をだますという擬態の定義からは外れている。
 捕食を逃れること以外に、餌(えさ)を得るためなどの積極的機能をもった擬態もある。花とそっくりの姿で虫を待ち伏せるカマキリや、にせの餌をちらつかせてほかの魚をおびき寄せるアンコウなどは攻撃擬態(ペッカム型擬態)とよばれる。ほかの鳥の巣にその卵とそっくりの卵を托卵(たくらん)するカッコウや、雌バチに似た花を咲かせて雄バチを誘い受粉を確実にするランの仲間なども、これに含めることができる。
 モデル、擬態者、だまされる者の三者はかならずしも別々の種であるとは限らず、前述のカッコウやランの例では、モデルとだまされる者は同じ種である。雌が口内保育を行うカワスズメ科魚類の雄の臀(しり)びれには卵とそっくりの模様があり、産卵した雌は本物の卵を口にくわえたのち、このにせの卵もくわえようとする。このとき雄は精子を出し受精が確実になり、だまされた雌も得をする。この場合には三者とも同じ種であり、種内擬態とよぶ。また、自分の体の一部、たとえば目とそっくりの模様を体のほかの部分にもっていて、捕食者の攻撃をそらす魚やチョウの場合は自己擬態とよばれる。人間の女性の乳房も、男が性的に関心をもつお尻に自己擬態したものだという説もある。[桑村哲生]
『ヴィックラー著、羽田節子訳『擬態――自然も嘘をつく』(1970・平凡社) ▽エドムンズ著、小原嘉明・加藤義臣訳『動物の防衛戦略』全2冊(1980・培風館) ▽日高敏隆著『動物の体色』(1983・東京大学出版会) ▽上田恵介編著『擬態――だましあいの進化論』全2冊(1999・築地書館)』

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世界大百科事典内の擬態の言及

【行動】より

…毒ガエルや毒ヘビの多くが鮮やかな体色をしているのはそのためである。こうした有毒な動物の体色や形,行動などに似た形態,色彩を有する無毒な動物が擬態で,これも一つの防衛行動の中に入れられよう。このほか,捕食されそうになる,あるいは捕まると相手の嫌う物質を放出するのも防衛である。…

【保護色】より

… さらに隠蔽色は,まったく逆の形で適応的意味をもつ体色,つまり標識色signal colorationと組みあって,その効果を強めている。標識色というのは,きわめて目だちやすい色彩をとることによって,その動物の存在を相手に知らせ,それによってその動物が利益を得るような体色のことで,敵をびっくりさせる威嚇色threatening coloration(芋虫やガの目玉模様など),自分が有毒,危険な動物であることを相手に知らせる警告色warning coloration(ハチの黄と黒の縞模様,毛虫の赤と黒のはでな毛の色,毒をもつ魚,カエル,ヘビのはでな斑紋など),ほんとうは有毒でも危険でもないのに,有毒動物の警告色や体形をまねた擬態,および同じ種の動物個体間で,雌雄,親子などが認識しあう認識色(チョウの翅の色,哺乳類・鳥類の雛の親とまるでちがう体色など)に分けられる。 このような標識色をもつ動物にも,二つの形の色をともにそろえている場合が多い。…

※「擬態」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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