日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガラガラヘビ」の意味・わかりやすい解説
ガラガラヘビ
がらがらへび
rattlesnake
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目クサリヘビ科マムシ亜科のうち、ガラガラヘビ属とヒメガラガラヘビ属に含まれるヘビの総称。尾端に特殊な発音器官をもつことで知られる毒ヘビで、カナダ南東部、アメリカ合衆国、中央アメリカからアルゼンチンに至るアメリカ大陸の大部分に分布する。ガラガラヘビ属Crotalusには28種(ほかに約40亜種)、ヒメガラガラヘビ属Sistrurusには3種が知られ、そのうち南アメリカにはガラガラヘビ属の2種だけが分布する。全長1.2~1.8メートルほどで、大はヒガシダイヤガラガラヘビC. adamanteusの2.4メートル、小はカロライナヒメガラガラヘビS. miliariusの60センチメートルである。頭部は三角形で細鱗に覆われるが、ヒメガラガラヘビ属では大形鱗に分かれる。ガラガラヘビの特徴である尾端の発音器官は、変形した尾端の鞘(さや)状の鱗(うろこ)が脱皮のたびに1節ずつ残されたもので、古い節は先端から順次脱落してゆく。発音は、尾部を立て激しく振動させることによる。自然界では尾節が8節ぐらいの個体が多く、もっとも効率よく音をたてるが、飼育下では20節も残って効率が落ちる個体がある。子ヘビには最初プレボタンとよばれる突起があり、最初の脱皮で第1節を生じるが、分化の進んでいないヒメガラガラヘビ属では発音器官が小さい。ガラガラヘビが発音する理由として、種間のコミュニケーション、ヤギュウによる圧死の防止などの諸説があるが、毒ヘビの存在を天敵に知らせる警告信号というのが、適説と考えられる。すべて毒性が強く、とくに大形種は危険である。卵胎生で20~60匹の子を産む。
[松井孝爾]