日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロカメムシ」の意味・わかりやすい解説
クロカメムシ
くろかめむし / 黒椿象
黒亀虫
black rice bugs
[学] Scotinophara lurida
昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目カメムシ科に属する昆虫。体長約10ミリメートルで、全体が黒色。小楯板(しょうじゅんばん)が大きく、腹端にまで達し、舌(した)形である。本州、四国、九州、沖縄のほか、台湾や中国などに分布する。イネの害虫として知られ、イネノクロカメムシ、クロチン、またはクロチンゾウ(黒椿象)などの別名がある。年1回発生。雑草の根際や石の下などで越冬した成虫は、苗代がつくられる6月ごろから水田に飛来し、イネに産卵する。幼虫は穂(とくに穂首)に集まり、そこから吸汁するので、イネの成熟を大きく妨げる。第二次世界大戦以前は北陸地方や佐渡島を中心に大発生したが最近は少ない。防除には薬剤散布のほか、越冬成虫の捕殺を行う。
[林 正美]