日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラジーリン」の意味・わかりやすい解説
グラジーリン
ぐらじーりん
Анатолий Тихонович Гладилин/Anatoliy Tihonovich Gladilin
(1935― )
ロシア出身の小説家。スターリン批判後に活躍した「第四の世代」といわれる作家たちの一人。1956年『ビクトル・ポドグルスキイの時代の記録』によりデビュー。「誤りを繰り返すことなく先行世代の仕事を引き継ぐ」という新しい世代の自覚的な問題意識をテーマに、『帆船は帆を上げる』(1959)、『先頭を行く』(1962)、『新年の最初の日』(1963)などを発表した。日記体や複数の語り手によるストーリーの展開など、新しい表現方法も模索、開拓した。72年、長編『明日の予報』がフランクフルトで出版される。76年4月にパリへ亡命し、放送局などで働きながら、批評、旅行記、風刺、コラムなどを書き、ソ連における検閲の問題をとりあげた『ソビエト作家の形成と衰退』(1979)、『フランス社会主義共和国』(1984)、作品集『あの頃のわたし』(1986)などを発表している。
[藻利佳彦]