改訂新版 世界大百科事典 「グラトコーフ」の意味・わかりやすい解説
グラトコーフ
Fyodor Vasil'evich Gladkov
生没年:1883-1958
ソ連邦の作家。エカテリノダル(現,クラスノダル)鉱山学校を卒業,教師をしながら小説を書きはじめ,革命運動にも参加していった。1906年に逮捕され,5年間の獄中生活を送った。革命と国内戦では赤軍に参加,20年《赤い黒海》紙の編集長をつとめ,翌21年からモスクワに移り文筆活動に専念する。初期の作品には見るべきものがなく,《セメント》(1925)で文名を確立した。国内戦で破壊された工場の復興のたたかいを描いたこの小説は,社会主義小説の典型であるが,芸術的には未熟なところが多い。ほかに長編《エネルギー》(1932-38),自伝三部作《幼年時代の物語》(1949),《自由の民》(1950),《凶年》(1954)などがある。
執筆者:原 卓也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報