日本歴史地名大系 「グラバー住宅」の解説
グラバー住宅
ぐらばーじゆうたく
グラバー園にあるイギリス人私邸の跡。安政六年(一八五九)長崎に来たイギリス商人トーマス・B・グラバーは同七年以降に民家を購入して住いに充てたが、文久元年(一八六一)現在地を借り、同三年日本初の木造洋館としてグラバー住宅を完成。明治三年(一八七〇)頃までに現状の丁字形の構成となるが、同一三年頃ツル夫人が住むようになって日本式の構えに改造され、さらに同二〇年頃まで増改築がなされた。日本最古の木造洋館遺構として主屋および付属室は国指定重要文化財。グラバーはグラバー商会を設立、加工海藻・諸色俵物・植物染料・絹・茶や金・銅・石炭などの輸出品、漢方薬・機械・武器・弾薬などの輸入品を扱って手広く貿易を行う一方、薩長土諸藩との結びつきを強め、その活動を物心両面で支えたことで知られる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報