〈正規の〉を意味するギリシア語orthósに由来する接頭語。同種化合物間のいろいろな違いを表すため,メタ,パラとともに用いられる。
(1)置換ベンゼンで二つの置換基が隣接位置(1位と2位)にあることを示す。置換基は同種でも異種でもよい。o-キシレン,o-ニトロトルエンのように略記する(下式参照)。芳香族化合物一般にも適用される。
(2)酸素酸の分類に用いられる。〈水の含有量(水化度)〉が最大のものをオルト酸(古くは正酸)という。たとえばリン酸H3PO4は正確にはオルトリン酸または正リン酸,水化度の低いHPO3はメタリン酸と呼ばれる。
(3)カルボン酸,アルデヒド,ケトンなど,カルボニル基をもつ有機化合物に対しても(2)の場合と同様に用いられる。
(4)核スピンの状態に関して用いられる。たとえば水素分子の二つの原子核のスピンが同一方向を向いているものをオルト水素(反対方向を向いているものをパラ水素)という(〈水素〉の項参照)。
執筆者:竹内 敬人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
“正規の”を意味する接頭辞.【Ⅰ】ベンゼン核の隣接する位置,すなわち,1,2位に置換基をもつことを示す接頭辞.普通,o-で示す.このほかにベンゼンの二置換体には,メタ,m-(1,3位)とパラ,p-(1,4位)がある.【Ⅱ】中心原子とその酸化数が同一のオキソ酸のなかで,水和度のもっとも高い化合物につける接頭辞.オルト――酸のように使うが,正――酸ともいう.たとえば,オルトホウ酸H3BO3,オルトリン酸H3PO4,オルトケイ酸H4SiO4.水和度の低いものにはピロ酸,メタ酸などがある.有機化合物では,オルトギ酸CH(OH)3(遊離酸として存在せず,エステルとして存在する),オルトアルデヒドRCH(OH)2(普通,遊離型では存在せず,アセタールとして存在する)がある.しかし,抱水クロラールCCl3CH(OH)2は例外的に安定なオルトアルデヒドである.【Ⅲ】原子の核スピン状態を区別する接頭辞.オルト水素では,2個の水素原子の核スピンは同方向で,パラ水素では逆方向である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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