ドック(英語表記)dock

翻訳|dock

デジタル大辞泉 「ドック」の意味・読み・例文・類語

ドック(dock)

船の建造・修理などを行うために構築された設備。乾ドック湿ドック浮きドックなどがある。船渠せんきょ
航空機格納庫
人間ドック」の略。
スマートホンタブレット型端末ホーム画面下部にある領域。電話や電子メールなど、よく使うアプリケーションソフトアイコンを配置する。
スマートホンなどを充電したり、他の機器に接続したりするための小形の台。

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精選版 日本国語大辞典 「ドック」の意味・読み・例文・類語

ドック

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] dock )
  2. 艦船の建造・修理・清掃・荷の積みおろしなどのため、水辺に構築される施設。乾ドック、浮きドック、湿(係船)ドックなどがあり、一般には乾ドックをいう。船渠(せんきょ)
    1. [初出の実例]「香港にて新に『ドック』を開くといふ。〈略〉能く商船の大なるものを容るといふ」(出典:万国新聞紙‐五集・慶応三年(1867)六月中旬)
  3. にんげんドック(人間━)」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「ドック」の意味・わかりやすい解説

ドック
dock

船渠(せんきよ)ともいう。船を建造,修理,あるいは係留するための施設。慣用的に造船所自体のことをドックという場合もある。ドックの歴史は古く,舟運の発生とほぼ同時期から存在したものと思われ,エジプト第6王朝のころの記録からも,ピラミッド建設用の石材運搬船の建造,修理にドックが使われていたことがわかっている。日本でも古くから木船用の簡易なドックが用いられていたが,江戸時代末期から明治にかけて西洋型の船が導入されるに伴い,石川島造船所,長崎小菅修船所などに近代的ドックが建造された。

ドックには使用目的によって修理ドック,建造ドック,係留(船)ドックなどがあり,形態により乾ドック,浮きドックの区別がある。

(1)乾ドックdry dock 船が出入りできる深さまで掘り込んで,三方を石,またはコンクリートで固め,長さ方向の一方だけ水面に向かって開き,ここに扉を設けている。船がドック内に引かれて入ってくると扉を閉め,ドック内の水をポンプで排出し,船をドック底に固定する。ドックの底は船を支えるに十分強固な構造をし,排水を容易にするためわずかに扉のほうに傾斜し,さらに側溝を設けている。中央には船を支える高さ1.2~1.6mのキール盤木が約1m間隔で置かれ,その両側にも倒れ止めの盤木が設けられている。一般に扉は,鋼製で水に浮く構造をし,取外しができるようになっている形式が多い。船が入るときは扉を浮かして引き出し,船を引き入れた後,扉を入口に沈め,ドック内の水をポンプで排出すると,内外の水圧差で扉は入口に密着する。船を出すときは逆の方法を取る。通常ドック内の水の注排水には1~2時間かかる。なお,ドックの近くにはクレーンウィンチなどが設けられている。このように,このドックは船を引き入れた後水を排出してしまうので乾ドックと呼ばれる。ふつうドックというと乾ドックを指し,この形式のものが数もいちばん多い。乾ドックはほとんどの造船所にあり,新造船の海上試運転に先立つ船底塗装の最終仕上げと点検に利用され,修理船の場合は定期的に船底,プロペラなどの点検,修理と船底の清掃と塗装を行うのに使われる。

(2)浮きドックfloating dock 鋼製の一種の箱船で,断面凹形をしている。船が入るときはドック自体にバラスト水を入れて沈下させ,船を引き入れた後,バラスト排水をして船をすくい上げて盤木の上に載せて浮上させる。このためドックにバラストポンプと工事用クレーンなどが設けてある。ドック自体はパイル柱,または錨で位置決めされている。浮きドックは乾ドックを掘るのが困難な場所などに設けられるが,運転費用が高くつくため,数はあまり多くない。

(3)建造ドックbuilding dock 新造船を建造するためのドック。構造的には乾ドックとほぼ同じである。ここで船を造れば進水作業を必要としないので,とくに巨大船建造に適しており,新しい造船所はほとんどこのドックをもち,船台は少なくなっている。

(4)係留ドックwet dock 干満の大きい場所で掘割り,または突堤の入口を扉で仕切り,干潮時でも内部の船を安全に係留できるようにしたものである。日本ではあまり見られない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドック」の意味・わかりやすい解説

ドック
どっく
dock

船を建造または修理するために構築された施設。乾ドックと浮きドックがある。乾ドックはコンクリートまたは石でつくられた長方形のプール状で、その短辺は海に通じており、閉め切るための扉船が付属している。底部の中心線上に船を据え付けるキール盤木を一列に並べる。キール盤木は30センチメートル角ぐらいの木材で、ドックの横方向に平行に高さ1.5メートルぐらいに積み上げ、長さ方向に1メートル前後の間隔で並べる。盤木は中心線のほか左右両側にも数条設けられる。船をドックに入れるにはまず引き船などで入口まで導き、ウィンチで引き込む。扉船をドックの入口近くまで引き寄せてから中の水を排水すれば、扉船が入口に密着して海水の浸入を防ぎ排水が続行される。船底が盤木にのるころに、船体とドックの側壁との間に支柱を挟んで船体を支持する。

 浮きドックは断面を凹型にした鋼板製の箱型浮体で、側壁と底部は中空になっている。ここに注水して全体を沈下させ、船をくぼんだところへ引き入れてから排水すれば、浮きドックは船をのせたまま浮かび上がる。

 乾ドックの一種に建造ドックがある。ドックの中で船を建造すれば、注水するだけで船を浮かべることができ、普通の船台で建造する場合の進水作業が必要ないので、超大型船の建造にはこの建造ドックが用いられる。

[森田知治]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドック」の意味・わかりやすい解説

ドック
dock

船舶の荷役や建造,修繕のために設けられた施設で,港湾ドックと造修ドックに大別され,後者はさらに乾ドック,浮ドック,係船ドックに分類できる。 (1) 港湾ドック 外海や航路と閘門 (こうもん) でへだてられた港湾で,港内の水位を一定に保つことができる。 (2) 乾ドック 船舶の建造や修繕のために設けられた掘割りで,入口の水門によってドック内の水を排除して船舶の船体全部を露出させ,水線下となる部分の工事を行うことができる。 (3) 浮ドック 船舶の建造,修理のために用いられる鋼製の樋状の容器で,ドック自身が浮沈の機能をもち,ドックを沈めて船を引入れたあと,ドックを浮揚させて船を水面上に露出させる。自由に移動でき,必要とする場所で迅速に作業にかかれる長所がある。船と浮ドックの機能を結合させたものとしてドック型揚陸艦があって,第2次世界大戦の揚陸作戦には小型の揚陸艇をドック内に搭載して活躍し,現在も揚陸艦艇の重要な構成分子となっている。 (4) 係船ドック 船舶を引入れる掘割りであるが,乾ドックのような閘門や水位調節の設備はない。艤装船や修繕船の係留岸壁の機能を果す。潮入り岸壁とも呼ぶ。

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百科事典マイペディア 「ドック」の意味・わかりやすい解説

ドック

船渠(せんきょ)とも。船の建造・修理・検査などのため造船所に設けた施設。浮きドックと乾ドックがある。前者は鋼製の一種の箱船で,バラスト水の注水と排水ができるようになっている。後者はコンクリートまたは石で作った長方形の掘割で,船を入進させたのち,閘門(こうもん)を閉じ排水する。周辺には工事用のクレーン,ウィンチ,電力などの設備を備える。なお係留ドックは,潮汐(ちょうせき)の干満差の大きいところで船を停泊させ,乗降,荷役,修理などを行うための人工の泊地で,とびらのあるものとないものとがある。
→関連項目進水船台造船所

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世界大百科事典(旧版)内のドックの言及

【スイバ】より

…漢方では,ギシギシと同様に薬用にする。 スイバの所属するギシギシ属Rumex(英名sorrel,dock)は,北半球の温帯域に約200種が分布し,日本にも14種が分布する。ヒメスイバR.acetosella L.(英名sheep sorrel)はスイバと同様,茎葉に酸味がある。…

※「ドック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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