改訂新版 世界大百科事典 「グリフュール」の意味・わかりやすい解説
グリフュール
Victor Griffuelhes
生没年:1874-1922
フランスの労働運動指導者。靴製造労働者として組合運動に参加,示威行動などの組織・指揮に手腕を発揮,頭角を現し,1899年全国皮革労連書記長,1902年労働総同盟(CGT)書記長に就任した。06年の8時間労働要求全国統一スト,08年の建築労連ストなどの大規模ストを指導したほか,アミアン憲章提案者の一人として,サンディカリスムの象徴的存在となった。労働総同盟は,その指導のもとに,土木,農林などの非熟練労働者および公務員の組織化を進めて発展し,また熟練工中心の職能別組合運動から,より大衆的な産業別組合運動への転換を果たした。この結果,総同盟内部では,経営者・政府との交渉を重視する改良派が勢力を増し,路線をめぐる対立が激化した。09年,内紛のなかで総同盟書記長を辞任,以後《バタイユ・サンディカリスト》紙などで文筆活動に専念,サンディカリスムの理論的指導を続けた。
執筆者:相良 匡俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報