改訂新版 世界大百科事典 「アミアン憲章」の意味・わかりやすい解説
アミアン憲章 (アミアンけんしょう)
Charte d'Amiens
1906年,アミアン市で開催されたフランス労働総同盟(CGT)第9回全国大会で採択された決議。社会党と総同盟の提携を求めたマルクス主義系活動家の提案に対抗したもの。(1)労働組合運動は,労働者の福祉の漸次的増大と労働者階級の最終的解放を同時に目標とし,(2)その手段は,ゼネストを最終的形態とする経営者への直接行動であり,(3)組合員が労働組合運動の外部でいかなる信条に従おうとも自由であるが,(4)組合運動は政党政派からは独立して行われるべきことを主張,834対8で採択された。総同盟内部の各種の派閥を考慮して妥協的な文言が用いられたが,当時の主潮であったサンディカリスムの理念が柱となっている。他方,この決議は,労働組合運動を政党間の抗争の外に置く趣旨のものであったから,共産党の成立に伴う21年の総同盟分裂以後,労働組合運動の統一行動や組織の統合を図る際の理論的根拠として用いられた。
執筆者:相良 匡俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報