グローバル・ガバナンス(読み)ぐろーばるがばなんす(その他表記)global governance

知恵蔵 「グローバル・ガバナンス」の解説

グローバル・ガバナンス

主権国家を超える集権的な世界政府(world government)ではないが、といって個々に並存する主権国家間の国際的アナーキーのみでもないという、変動しつつある現代の世界秩序の形成過程を包括的にとらえる概念。市民、NGO、自治体、多国籍企業、政府、国際機構などが、対立・相違する利益や意見を調整しつつ、重層的なネットワークを組織化し、人類共通の問題に取り組む過程や構想、そこから生まれる制度などを指す。1980年代末からグローバルな改革を構想する言葉として広く用いられている。そこにかなり共通に見られる考え方は、(1)市民やNGOの運動と国際機構の働きとを結びつけて、低下しつつある国家の問題解決能力を補う、(2)市場を重視するが、同時に市場を管理するため、国連、国連開発計画、世界銀行などを市民の経済社会的・人間的ニーズ応答可能な仕組みに改革する、(3)諸制度が分権的に構成され、多元的な価値や文化が共生する世界を目指す、など。◇グローバル・ガバナンス委員会『地球リーダ-シップ』(1995年、NHK出版)

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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