化学辞典 第2版 「ケイ酸マグネシウム」の解説
ケイ酸マグネシウム
ケイサンマグネシウム
magnesium silicate
以下の4種類が知られている.【Ⅰ】オルトケイ酸マグネシウム:Mg2SiO4(140.67).IUPAC体系(付加命名法)(テトラオキシドケイ酸(4-))マグネシウム.天然には苦土かんらん石(forsterite)として存在する.人工的には,SiO2とMgOを加熱溶融反応させると得られる.無色の斜方晶系結晶.独立した正四面体型のSiO4からなる.密度3.2 g cm-3.融点1910 ℃.水に不溶.アルカリ水溶液には徐々に溶ける.HCl,HNO3などでは加水分解する.耐火物材料,高炉スラグの融剤として使用される.[CAS 10034-94-3]【Ⅱ】メタケイ酸マグネシウム:(Mg3SiO3)n(100.39×n).天然には輝石類の頑火輝石(enstatite)(斜方晶系),斜頑火輝石(clinoenstatite)(単斜晶系)がある.人工的には,SiO2とMgOを混合,溶融して反応させてつくる.四面体型のSiO4が,Oを共有して鎖状に並んだ構造をもつ.密度3.19 g cm-3.1560 ℃ で分解する.水や希酸に不溶.アルカリ水溶液には徐々に溶ける.[CAS 13776-74-4]【Ⅲ】二ケイ酸三マグネシウム:Mg3Si2O5(OH)4(277.11).天然には,蛇紋石(serpentine)として産出する.単斜晶系.繊維状の温石綿(chrysotile)(石綿の一種),板状のアンチゴライト(antigorite)などの多形を示す.石綿として化学物質排出把握管理促進法・特定第1種指定化学物質(ヒトへの発がん性を有する物質).労働安全衛生法-製造が禁止されている物質.[CAS 12001-29-5]【Ⅳ】三ケイ酸二マグネシウム:Mg2Si3O8(260.86).天然には,海泡石(sepiolite)として産出する.人工的には,Na2SiO3とMgSO4を原料として,多孔質の粉末が得られる.胃の制酸剤や,クロマトグラフィーなどに用いられる.[CAS 14987-04-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報