翻訳|serpentine
蛇紋岩を構成する含水マグネシウム層状珪(けい)酸塩鉱物の総称。同じ化学組成で原子配列の異なる多形polymorph、単位層の積み重ねの方向の周期が異なる多型polytypeが数多くある。おもなものはアンチゴライト(葉(よう)蛇紋石)、リザード石lizardite、クリノクリソタイルclinochrysotile(繊維蛇紋石)の3種である。蛇紋石鉱物のうちアンチゴライトがもっとも普通の種である。繊維状の結晶が平行に集合して蛇紋岩を切る脈を構成する。蛇紋石は、超塩基性岩が熱水変成作用を受けて生成されるのが大部分であるが、他の岩石中のマグネシウム珪酸塩鉱物の分解によっても容易に生じる。蛇紋岩は軟らかく、切断したり研磨しやすいので、色の美しいものは装飾品として利用されることがある。英名は、ある種の蛇紋岩の表面が蛇の皮の模様に似ているところから、蛇を意味するラテン語に由来する。
[松原 聰]
マグネシウムの含水ケイ酸塩鉱物。名称はヘビの皮のような外観を示すことによる。アンチゴライトantigorite(葉片状),リザーダイトlizardite(塊状),クリソタイルchrysotile(繊維状,電子顕微鏡下ではパイプ状)の3種に分けられるが,これらが混じって出ることが多い。いずれも層状の結晶構造をもち,クリソタイルでは層が湾曲してパイプとなり,アンチゴライトでは波状の層が反転しながら連なっている。化学組成はほぼMg6Si4O10(OH)8であるが,Fe,Alなども少量含まれ,またアンチゴライトではこの組成よりもMgはやや少なく,Siはやや多い。通常は単斜晶系。一般に緑色で,脂肪光沢がある。モース硬度2.5~4,比重2.5~2.6。外観の良いものは装飾材となり,クリソタイルの繊維はアスベストとして利用される。蛇紋石はカンラン石あるいは輝石の変質物であり,カンラン岩などの超塩基性岩はしばしば蛇紋石を主成分とする蛇紋岩に変わっている。
執筆者:白水 晴雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
含水マグネシウムアルミノケイ酸塩鉱物の総称.一般式はMg3(Si2O5)(OH)4,SiはAlによって置換される.Mg3(Si2O5)(OH)4はアンチゴライト,H4Mg2Al2SiO9はアメサイトとよばれ,蛇紋石の構成要素となる.空間群 Cmの単斜晶系に属する層状ケイ酸塩.格子定数 a0 ≅ 0.53,b0 ≅ 0.92,c0 ≅ 0.73 nm.β ≅ 約90~93°.単位格子中に2個の基本組成を含む.硬度2.5.密度約2.6 g cm-3.超塩基性岩中のかんらん石や輝石と水の反応で生成する.ヘビの皮の模様に似た色を呈する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新