日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケイ酸石灰」の意味・わかりやすい解説
ケイ酸石灰
けいさんせっかい
製鉄など種々の金属や合金を製造するために鉱石に石灰、珪石(けいせき)、ドロマイトなどを加えて炉で溶融するとき上層に浮かぶ鉱滓(こうさい)を冷却後粉砕したもので、別名「ケイカル」ともよばれる。主成分はメタケイ酸カルシウムCaSiO3と考えられ、薄い酸に溶けるケイ酸を含んでおり、灰白色ないし灰黒色の微粉末で、比重は2~3と重く、可溶性ケイ酸20~35%、アルカリ分30~50%を含んでいる。ケイ酸はイネに病気や害虫の被害を受けにくくさせ、また倒れにくくさせる有用な元素で、よく水田に施用される。とくにケイ酸の不足している老朽化水田や泥炭地土壌で有効な場合が多い。土壌酸性を中和するため畑作にも施用される。中和する力は炭酸カルシウムや苦土石灰と同等とされているが、中和する速度はそれらに比べて遅い。
[小山雄生]