改訂新版 世界大百科事典 「コスツス」の意味・わかりやすい解説
コスツス
spiral flag
Costus
ショウガ科オオホザキアヤメ属Costusの多年草で,中南米をはじめ東インドなど熱帯地方に140種を産する。この仲間の代表種オオホザキアヤメC.speciosus(Koen.)Smithはフクジンソウの別名もあり,インド東部からマレーシア地域の原産。茎は高さ1~2mに達し,よく分枝し,葉はやや肉厚,濃緑で光沢があり,長さ15~20cmの長楕円形である。花は茎の先端に穂状花序につき白色で,中心は黄色,苞は鮮赤色である。ベニバナフクジンソウC.igneus N.E.Br.はブラジル原産で,前種に比べると小型で高さは50cm,葉は表が暗緑,裏は赤みをおび,花は光沢のある緋橙赤色で美しい。コスツス・マロルティアヌスC.malortieanus Wendl.はコスタリカの原産で,高さは40~100cmに達し,卵形の葉は幅広くやや肉厚,緑色地に淡緑の条がはいり,表裏が短毛でおおわれビロード状である。花は目だたない。コスツスは性質の強い塊茎植物で,オオホザキアヤメは熱帯では雑草的に生育するじょうぶな種であり,広く観賞用に庭園や公園に植栽されている。日本では夏に生育し,秋からは半休眠状態となる。しかし温室などでは冬もそのままで残り,春になると株もとから新芽をだす。冬は5℃以上を保ち,いつも明るい日陰の湿った場所に置く。培養土は腐葉土の多い軽い土がよく,繁殖は株分けによる。
執筆者:坂梨 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報