表裏（読み）ヒョウリ

デジタル大辞泉

ひょう‐り〔ヘウ‐〕【表裏】

［名］(スル)
１ 表と裏。また、その関係にあること。「表裏をなす」「喜びと表裏して悲しみがある」
２ 外面と内実とで違いがあること。人前での言動と内心とが相違すること。うらおもて。「表裏のある人」
[類語]裏表・反対・陰日向・背中合わせ・裏腹・面従腹背

おもて‐うら【表裏】

１ 表と裏。
２ 人目に立つ態度と、心のうち。「表裏のない人物」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ひょう‐りヘウ‥【表裏】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ( ━する ) おもてとうら。物の表面と裏面。事柄の外面と内面。また、表と裏の関係にあること。位置や立場などが互いに相反すること。
   1. [初出の実例]「忽辱_二恩賜_一、驚欣已深、心中含_レ笑独座稍開。表裏不_レ同相違何異」(出典：万葉集（８Ｃ後）一八・四一二八右詞文)
   2. 「それは『近代ヨーロッパ』への劣等感と表裏したものであるだけに」(出典：現代史の課題（1956）〈亀井勝一郎〉対中国関係と日本の矛盾)
   3. [その他の文献]〔管子‐心術下〕
3. ② ( ━する ) ことばや態度と内心とが相違すること。陰ひなたがあったり、うそをいったりすること。
   1. [初出の実例]「隠顕に表裏なき、これを闊空といふ」(出典：正法眼蔵（1231‐53）坐禅箴)
   2. [その他の文献]〔史記‐李斯伝〕
4. ③ ( ━する ) おもてとうらが転倒すること。うらはら。
   1. [初出の実例]「一の心病ある故に、百善変じて凶徳となれり。貴殿の故者は表裡せり〈略〉一の徳ある故に、百悪変じて吉となれり」(出典：集義和書（1676頃）一一)
5. ④ 陣立の名。
   1. [初出の実例]「西方より表裏の陣を立てられて」(出典：武家名目抄（１９Ｃ中か）軍陣部)

おもて‐うら【表裏】

1. 〘 名詞 〙
2. ① おもての方とうらの方。うらおもて。表面と裏面。ひょうり。〔文明本節用集（室町中）〕
   1. [初出の実例]「内の用心を見やうと思って、手燭を持て表裏(オモテウラ)を見たが」(出典：滑稽本・浮世風呂（1809‐13）前)
3. ② 表面上の態度と内心。転じて、言動と心とが一致しないこと。心にもないことをすること。うらおもて。ひょうり。
   1. [初出の実例]「殊に面裏(ヲモテウラ)なきを隠顕と云い出た」(出典：駒沢大学本臨済録抄（１６Ｃ後）中)
   2. 「Vomote(ヲモテ) vrano(ウラノ) アル ヒト」(出典：日葡辞書（1603‐04）)

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【表裏】ひよう（へう）り

表と裏。外と内。〔子、礼論〕理く、用省かる。是れ禮のなり。～理用、相(たが)ひに外を爲し、表裏竝び行はれて雜(まじ)はる。是れ禮の中なり。

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出典　平凡社「普及版 字通」