コナント報告書(読み)コナントほうこくしょ(英語表記)The Conant Report

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コナント報告書」の意味・わかりやすい解説

コナント報告書
コナントほうこくしょ
The Conant Report

J.コナントカーネギー財団の資金援助を受けて実施した調査研究の報告書。 1959年『現代アメリカのハイスクール』 The American High School Today: a First Report to Interested Citizensとして刊行された。これは 26州におけるハイスクールの現状分析と 21項に及ぶ具体的な勧告を試みたもので,多くの反響を呼んだ。翌 60年には『ジュニア・ハイスクール段階の教育に対する勧告』 Recommendations for Education in the Junior High School Yearsが第2報告として発表された。さらに 65年に,コナントを中心に全アメリカ中等学校長会によって,中規模のコンプリヘンシブ・ハイスクールを対象として第1次報告書の勧告の追調査を実施し,その結果が 67年に『コンプリヘンシブ・ハイスクール』 The Comprehensive High School: A Second Report to Interested citizensとして刊行された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コナント報告書」の意味・わかりやすい解説

コナント報告書
こなんとほうこくしょ
Conant Report

元ハーバード大学学長で駐西ドイツ大使を務めたコナントJames B. Conant(1893―1978)が、カーネギー財団の資金援助による調査研究に基づき、アメリカの中等教育および教員養成について行った一連の教育改革に関する勧告書の総称である。報告書は4次にわたり、それぞれ後期中等教育(1959)、前期中等教育(1960)、教員養成制度(1963)、総合制中等学校(1967)に関している。

 その内容は、基本的には総合制中等学校の存続などアメリカの伝統である民主主義的教育の諸価値を認めつつ、一方で、アカデミックな教科目の拡充英才教育のための能力別学級編制の導入など、科学技術の革新や国際競争の激化といった新しい時代の要求に応じた教育の確保を具体的に提言した。報告書は、全体的には中庸を得たものであり、アメリカ国内だけでなく、日本を含む多くの国においても広く注目された。

上原 崇]

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