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英才教育 えいさいきょういく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

英才教育
えいさいきょういく

特に知的能力のすぐれた児童への教育をいう。これに対し芸能方面にすぐれた能力をもつ子供への教育を才能教育ということがある。イギリスのグラマー・スクール,ドイツのギムナジウム,フランスのリセ,日本の旧制高等学校などは,一面では英才教育が制度化されたものとみることができる。アメリカや現在の日本などのいわゆる単線型の学校制度では進み方の違う生徒の教育がお互いにしわよせを受け,能力の発展が抑制される傾向がある。その対策としては能力別学級編成,個別指導制,プログラム学習などが考えられ,最近では飛び級の制度も提案されている。

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デジタル大辞泉の解説

えいさい‐きょういく〔‐ケウイク〕【英才教育】

才能のすぐれた児童・生徒に対して、その能力を伸ばすために行う特別な教育。秀才教育。

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世界大百科事典 第2版の解説

えいさいきょういく【英才教育】

幼児期,もしくは学童期に知能面で優れた才能と素質をもった児童に対してその才能を伸ばすための特別な教育をほどこすこと。その起源は,古くは哲学者J.S.ミルに対して父親が乳幼児の時期から早期教育をほどこしたような家塾的なものに端を発している。今日では,それは優秀児の教育は遅くとも2~3歳のころから始めるべきで,学齢に達するまでに適切な教育をほどこさないでおくと,才能を啓発する好機を失ってしまうとする早期教育論と結びつき,その必要性が主張されている。

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大辞林 第三版の解説

えいさいきょういく【英才教育】

特にすぐれた能力をもった児童・生徒に対し、その能力を伸ばすために行う特別の教育。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

英才教育
えいさいきょういく
education of the gifted

とくに優秀な才能(なかでも知的、精神的な能力、いわゆる知能)の所有者を早期に発見し、その才能を最大限に開発することを目ざす特別な教育をいう。したがって才能教育education of the talentedの一種とも考えられるが、ふつう才能教育は、芸術やスポーツなど特技領域について用いられる。英才の定義はかならずしも一定しないが、もっとも広く用いられる基準は知的障害者鑑別用にフランスの心理学者アルフレッド・ビネーが開発した知能検査によって測定される知能指数(IQ)である。IQは精神年齢と暦年齢との比から算出される。普通、IQ90~110が正常と考えられ、これに人口の約50~70%が入るが、これを中心としてIQの高い者と低い者とが正常分布曲線を描いて分布するとされる。そのうちIQ110~130を優秀(約20~25%)、130以上を英才(3%)とよび、なかでもとくに優れた者(140以上。1%)を天才とよぶ学者もいる。ただし天才という語は往々にして芸術など特殊才能について使用される習慣があるので、英才の名で包括するのが普通である。イギリスの遺伝学者ゴルトンやアメリカの心理学者ターマンらは、IQは年齢とともに変化せず、比較的恒常性をもつとし、また高い知能の所有者は知的にだけでなく、あらゆる面で優れていると主張したが、その後、この主張には多くの批判が加えられ、知能は、創造性、芸術的才能、人間関係処理能力などとかならずしも並行しないとされるようになった。そのため、IQにかえて、知能偏差値が用いられることが多くなった。ただし、わが国では偏差値は受験用学力について用いられることが多く、偏差値を基にした教育制度は諸悪の根源とされている。[新堀通也]

問題点

今日、脱工業化の進展によってますます高度な知識や情報、科学や技術の重要性が高まりつつあり、とくにわが国では頭脳集約産業や高度な文化の発達が国際競争力の観点からも強く要請され、産業界や学界などでは創造性が国の将来を左右するという認識が強い。政府もIT革命への対応、科学技術立国などを強調し、英才教育が関係諸審議会によって提案されている。ところが第二次世界大戦後の教育では、平等と画一、横並びの一斉主義が根強い傾向として定着し、英才教育は「差別・選別」「エリート主義」などの名のもとにタブー視されてきた。そこには第二次世界大戦前の複線型教育制度に対する反省や、戦後の受験秀才(いわゆる偏差値秀才)重視から生じる各種の弊害の認識などが作用している。さらに基本的には、英才の定義や鑑別、英才教育の方法、内容、目的などについての科学的、世論的な合意が確立していないところに問題がある。そのうえ、英才教育と天才教育、才能教育、エリート教育などとの区別も明確ではない。そのため、才能の早期開発や、いわゆるエリート校の教育、たとえば第二次世界大戦前の日本の高等学校(旧制)、イギリスの「オックスブリッジ」(オックスフォード大学とケンブリッジ大学)、フランスのグランゼコールなどのエリート教育も英才教育の一種として考えられることがある。[新堀通也]

主要類型

古く孟子(もうし)は天下の英才を得て教育することを「君子の三楽」の一つと考えたし、プラトンは哲人教育を主張した。英才教育をもっとも広く解するなら、多くの国に貴族、支配者、エリートのための学校と、庶民のための学校という複線型の学校制度があり、前者では、早くから一種の英才教育を行った。その後、基礎教育を全国民共通のものとし、そのなかから入試など多くの厳格な方法で英才の選抜を行い、これに上級学校で特別な教育が施された。しかし狭義の英才教育が学校で取り上げられたのは19世紀後半からである。今日、その主要な形態としては、
(1)早期進級制(早期入学、飛び級、早期卒業など)
(2)英才のための特別学校や特別学級(カリキュラムの豊富化、能力や到達度別の学級編成、特定教科だけの特別学級など)
(3)普通学級内での能力別指導
の三つをあげることができよう。[新堀通也]
『清水義弘・向坊隆編『英才教育』(1969・第一法規出版) ▽藤永保・麻生誠編『能力・適性・選抜と教育』(1975・第一法規出版) ▽宮城音弥著『天才』(岩波新書) ▽上出弘之・伊藤隆二著『知能』(1972・有斐閣) ▽井上敏明著『知能のタイプ』(1994・朱鷺書房)』

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世界大百科事典内の英才教育の言及

【早期教育】より

…教育の始期として常識的に考えられている年齢よりも早期に教育を開始することにより,教育効果を高めようとする試み。早教育ともいい,英才教育,才能教育とほぼ同義に使われることもある。たとえば,従来就学後の教育課程のなかに位置づけられてきた文字や数の学習を,就学前教育の段階で指導したり,音楽など特定の才能を伸ばす目的で2~3歳から楽器の練習をさせるばあいに用いられる。…

※「英才教育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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