日本大百科全書(ニッポニカ) 「こぶ病」の意味・わかりやすい解説
こぶ病
こぶびょう
植物が病原菌に侵され、その部分の細胞が肥大、増生して大きく膨れ、こぶ状になる病気。代表的なものにマツのこぶ病がある。マツこぶ病はクロナルティウム・クエルカムCronartium quercuumというさび菌の寄生によって、枝や幹に大きなこぶができる。この菌はさび菌特有の異種寄生性で、さび胞子時代はマツに、夏胞子、冬胞子時代はクヌギ、コナラに寄生する。春先にマツのこぶから黄色の粉が噴出するが、これはさび胞子の塊である。こぶのできたマツの小枝は切り取って、肩たたきなどに利用される。このほか、バラや果樹類の根や地際(じぎわ)部にこぶができるものや、ハクサイなどアブラナ科の根にこぶができる病気があるが、これらは根頭(こんとう)がんしゅ病、根こぶ病など別の病名がつけられている。
[梶原敏宏]