改訂新版 世界大百科事典 「コミューター輸送機」の意味・わかりやすい解説
コミューター輸送機 (コミューターゆそうき)
commuter airliner
小型の輸送用民間航空機の総称。客席10以下の軽飛行機に属するものから60席程度のものまで各種あるが,多くは双発のプロペラ機である。このような輸送機は昔からあったが,1960年代にアメリカで,各地方の小都市への短距離航空輸送が,大きい本格的な輸送機では旅客が少なすぎて採算が取れないところから,小型機による簡易な定期航空輸送業を政府が認め,これをコミューターと呼んだのが現在の語源である。当時の使用機は最大19席だったが,72年に機材の枠が30席まで広げられ,その後50席台の機材も使えるようになって,民間航空輸送の底辺として発展し,これに適するコミューター輸送機の開発生産や運航が,アメリカ以外の国でも盛んになった。コミューター輸送機は,より大型の輸送機に比べ速度や乗りごこちは劣るが,安全性を保ちながら機体価格と運航経費を極力下げるくふうがされている。
執筆者:久世 紳二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報