改訂新版 世界大百科事典 「コリー種」の意味・わかりやすい解説
コリー[種]
collie
イギリスが原産地の牧羊犬,家庭犬。コリーにはラフ・コリーrough collieとスムース・コリーsmooth collieの2種があり,前者は長毛種,後者は短毛種で,両者の相違は被毛の長短のみである。通常コリーと呼ぶのは前者で,日本では後者はみられない。起源は不明だが,16~17世紀ころスコットランドやイングランドの北部で牧羊犬として活躍したイヌの子孫だといわれる。当時は黒いイヌが主で,ヒツジも顔と四肢が黒くcolleyと呼ばれ,これを追うイヌをcolley dogと呼んだ。黒の意のcolとヒツジの呼名からコリーの名称が生まれたという。性格は温和で,現在のような優美なイヌに改良されたのは19世紀後半で,体格も今より小さかった。現在も世界で広く牧羊犬として活躍しているが,映画やテレビにコリーのスターたちが登場して以来,世界的人気を集めるに至った。被毛は長く美しく,特に頸部と胸前は豊富で,毛色はトライカラー(白地に黒色と茶褐色),セーブル(赤褐色と白色),ブルー・マール(大理石色)などである。体高50~65cm,体重20~30kgの中型種。
執筆者:一木 彦三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報