骨格、筋肉および皮下脂肪などを指標とした身体の外観的状態をいう。具体的には、身長、体重、胸囲というような一つ一つの身体計測値そのものが体格を意味している。なお、これら体格の相互関係による形態的特徴づけを体型という。
[小野三嗣・山田 茂]
体格を知ることは、その個人が支障なく発達しているかどうかをみるうえで重要である。身長、体重はもちろん、頭長、下肢長、頭囲、胸囲、手頸(しゅけい)囲などの発達は、年齢とともに比例して伸びるわけではなく、ある発育段階において部分的に伸びることがあり、これに沿って身体のバランスも変化する。2007年度(平成19)『学校保健統計調査報告書』(文部科学省)で目だつのは、「身長の推移」として、(1)2007年度の男子の身長(全国平均値。以下同)は、10歳で前年度の同年齢より増加している。その他の年齢では、12歳、14歳および17歳で前年度より減少している。女子の身長は、6歳、10歳および12歳で前年度の同年齢より増加している。その他の年齢では、7歳、11歳および13歳で前年度より減少している。(2)男子では発育量が最大となる時期は親の世代より1歳早い11歳時となっており、5歳から7歳および9歳から11歳の各歳時で親の世代を上回っている。(3)女子については、発育量が最大となる時期は親の世代より1歳早い9歳および親の世代と同じ10歳となっており、5歳から9歳の各歳時で親の世代を上回っている。(4)17歳(平成1年度生まれ)の年間発育量をみると、男子では11歳から12歳時に発育量が著しくなっており、11歳時に最大の発育量を示している。(5)女子で、17歳の年間発育量をみると、9歳から10歳時に発育量が著しくなっており、最大の発育量を示している。最大の発育量を示す年齢は、女子のほうが男子に比べ2歳早くなっている。
また、「体重の推移」としては、(1)2007年度の男子の体重は、6歳、9歳から15歳の各年齢および17歳で前年度より減少している。女子の体重は、10歳で前年度の同年齢より増加している。その他の年齢では、6歳、7歳、9歳および11歳から17歳の各年齢で前年度より減少している。(2)平成19年度の体重を親の世代と比較すると、もっとも差がある年齢は、男子は12歳、15歳および17歳で4.2キログラム重くなっている。(3)同比較において、もっとも差がある年齢は、女子では10歳で、親の世代より2.3キログラム重くなっている。(4)17歳(平成1年度生まれ)の年間発育量をみると、男子では11歳から12歳時に発育量が著しくなっており、11歳時に最大の発育量を示している。(5)17歳の年間発育量をみると、女子では10歳から11歳時に発育量が著しくなっており、10歳時に最大の発育量を示している。また、この発育量を親の世代と比較すると、男子では発育量が最大となる時期は、1歳早い11歳となっており、11歳以下の各歳時、14歳時および16歳時で親の世代を上回っている。女子については、発育量が最大となる時期は親の世代より1歳早い10歳となっており、10歳以下の各歳時で親の世代を上回っている。メタボリックシンドロームの予備軍として考えられている肥満傾向児の出現率は、男子では9歳から17歳で10%を超えており、15歳が13.5%ともっとも高くなっている。女子では15歳で9.9%でもっとも高くなっている。
逆に、痩身傾向児の出現率は、男子では9歳から17歳で1%を超えており、11歳が2.9%ともっとも高くなっている。女子では8歳から17歳で1%を超えており、12歳が4.0%ともっとも高くなっている。
[小野三嗣・山田 茂]
体型においては、各体格の測定値より比体重、比胸囲、比座高、ローレル指数Rohrer's indexを求める方法がよく用いられる。ローレル指数は肥満とのかかわりで問題とされることが多いが、実際には皮下脂肪厚による判定のほうが、体構成を考慮に入れた場合には意味がある。たとえば、スポーツ選手を考えた場合、筋肉が発達したために単純にローレル指数が大きくなってしまい、身長のわりに体重が重い場合の過体重といわゆる肥満との区別がつきにくくなるわけである。こうした矛盾を解決するために、皮下脂肪厚から体脂肪率を求め、肥満の判定を求める方法などが使われる。このほかの体型指数としてはピルケPirquet、カウプKaup、ベルベックVervaeck、リビーLiviなどの指数も考えられている。また体型と体質とは相互に関係があるとするものにシェルドンScheldonの体型がある。これは、体型を、皮下脂肪厚によって消化器系の発達した「内胚葉(はいよう)型」、握力によって筋肉の発達した「中胚葉型」、手頸囲によって神経・感覚器の発達した「外胚葉型」の三つに区分し、それぞれをさらに三段階に評価して体質と結び付けるものである。この方法は、スポーツマンの体型を考えるうえでは効果のある方法といわれている。
[小野三嗣・山田 茂]
体の骨組み,肉づき,太りぐあいなどのいわゆる〈体つき〉のことで,骨格,筋肉,皮下脂肪などで構成される身体全体の形態学的・数量的特性をいう。ほとんど同じ意味の語として〈体位〉がある。体格を身体発育という立場からみると,年齢や栄養状態を反映しているといえるが,身体発育の到達度や水準の意味が体位には含まれており,たとえば〈国民体位の向上〉などの表現にみるように,体格の状況を表現する場合に多く用いられている。また,太っている,やせている,筋肉質などのように,体つきをいくつかのタイプに分類する試みが,E.クレッチマー,W.H.シェルドンらによって提唱されている。これらは〈体型somatotype,bodytype〉といわれ,身体の外形の分類で,体格とは意味を異にする。
体格を表す測度としては,身長,体重,胸囲,座高,上肢長,下肢長,皮下脂肪厚などの生体計測値が用いられるが,それらの絶対値とともに,体格を表現するものとして各計測値間の相互の比(指数)をとることが多い。いろいろな計測値を組み合わせた指数が数多く提唱されているが,前記の計測値の前4者の組合せが比較的多く用いられ,体格指数ともよばれる(表参照)。これらにはそれぞれの表す意味があるが,なかでも,体重と身長との関係で,太りぎみ,やせぎみなどの肥満度を表すローレル指数が最も普及している。
体格は身体全体の特徴として,生物学的,すなわち遺伝的に規制される面をもつ。したがって,ある集団にはそれぞれの体格の水準があり,〈よい体格〉ということは,その水準以上にあることを示す。しかし一方では,体格は生活様式,栄養状態などの後天的要因によっても変化することが知られている。日米混血児や在米日系人子弟の研究では,思春期以前には外的要因の影響を受けやすく,思春期以後に遺伝的要因が強く現れてくることが明らかになった。また体格は時代とともに変化する。現在,体格の大型化が日本のみならず,欧米でも認められており,単に生活様式や栄養状態の改善の結果だけとはいいきれない側面を示している。
→体 →人体計測法 →体型
執筆者:江藤 盛治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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