マール(読み)まーる(英語表記)Николай Яковлевич Марр/Nikolay Yakovlevich Marr

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マール」の意味・わかりやすい解説

マール(Nikolay Yakovlevich Marr)
まーる
Николай Яковлевич Марр/Nikolay Yakovlevich Marr
(1865―1934)

ロシアソ連言語学者。アルメニアおよびジョージアグルジア)の文献学的研究やカフカス地方の言語歴史民族の研究に多くの業績を残す。また、独特な言語発展段階説を唱えた、いわゆる「ヤフェト理論」(のちに「言語に関する新学説」)でも知られるが、なによりもマールを有名にしたのは、「言語は上部構造であり階級的性格を有している」との考えに代表される、いわゆる「マール主義」である。この「学説」は、非科学的であるにもかかわらず、スターリン自らが批判を下した1950年までの20年余にわたり、ソ連言語学界を席捲(せっけん)した。逆に1950年代にはマール全面否定論が支配するが、今日では、言語と社会の関係をめぐる学説をはじめとして、マールの理論全体に改めて客観的な評価が下されている。

桑野 隆 2018年8月21日]


マール(泥灰岩)
まーる

泥灰岩

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マール」の意味・わかりやすい解説

マール
Mâle, Émile

[生]1862.6.2. コメントリー
[没]1954.10.6. オアーズ,シャーリー
フランスの美術史家。中世キリスト教美術の研究家で,1912年ソルボンヌ大学教授,25年ローマ・アカデミー校長,27年アカデミー会員となった。主著『中世末期の宗教美術』L'art religieux de la fin du moyen âge en France (1908) ,『トレント公会議後の宗教美術』L'art religieux après le concile de Trente (32) 。

マール
Marr, Nikolai Yakovlevich

[生]1865.1.6. グルジア,クタイシ
[没]1934.12.20. レニングラード
ソ連の言語学者,考古学者。カフカス諸語の研究には業績を上げたが,次第に言語発生一元論,言語上部構造論を骨子とする非科学的言語理論へ傾いていった。その学説は彼の死後もソ連の御用学説となったため,ソ連の言語学は著しく発達を阻害されたが,1950年スターリンに批判され,以後ソ連でも認められなくなった。

マール
maar

火山性水蒸気爆発によって比較的平坦な土地に形成された円形凹地 (一種爆裂火口 ) 。火口からマグマは噴出せずに揮発性物質だけが基盤岩を破って散逸して形成され,この周囲には基盤岩石の砕屑物が環状に堆積している。その直径は一般に小さく 1km以下で,湖となっている場合が多い。ドイツのアイフェル地方のマール群,日本では東北地方の一ノ目潟,二ノ目潟などがその例。

マール
Marl

ドイツ西部,ノルトラインウェストファーレン州,ルール地方の都市。リッペ川の南岸,レクリングハウゼンの北に位置する。 800年頃から比較的規模の大きい集落として歴史に名がみえるが,本格的発展は 19世紀末からの石炭と鉄鉱石の採掘によるところが大きい。 1936年市制。近年は大規模な化学工業が経済の中核をなす。人口9万 1467 (1991推計) 。

マール

泥灰岩」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android