コロノ(読み)ころの(その他表記)colono

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロノ」の意味・わかりやすい解説

コロノ
ころの
colono

本来はラテンアメリカの入植民を意味し、白人入植農民をさすこともある。一般的には、ラテンアメリカの従属度の強い小作農総称として用いられ、国、地域によってさまざまな名称をもつ。たとえば、エクアドルではワシプンゲロhuasipunguero、ペルーではヤナコーナyanacona、チリではインキリノinquilinoとよばれ、労働地代もしくは生産物地代を納め、アシエンダ(大農場)主である地主に従属し、その追加労働力源ともなっている。またアンデス地域の雇役小作農、ブラジルのコーヒー農場労働者、革命前のキューバのサトウキビ農民などに対してもコロノの名称が用いられる。

[原田金一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コロノ」の意味・わかりやすい解説

コロノ
colono

19世紀後半から 20世紀の前半にかけ,ブラジル,アルゼンチンに多くみられた短期契約農民。自作農,開拓農に対して土地のない農業移民をいう。そのほとんどは外国移民で,地主との契約に基づき渡来し,一定期間 (4~5年) 開墾栽培に従事したのち,みずからも土地所有者となった。アルゼンチンの農業,ブラジルのコーヒー園はこの制度により大発展をみた。

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世界大百科事典(旧版)内のコロノの言及

【アシエンダ】より

… アシエンダの経営は小作地と地主直営地に大別される。前者はさらに地代形態により雇役小作(小作農の名称――コロノ,インキリノ,ワシプンゲーロ),分益小作(ヤナコナ,アパルセロ,メディエロ),賃小作(アレンダタリオ)に区別され,直営地においては農業労働者(ガニャン,ペオン,アフエリノ,ボルンタリオ)が低賃金労働を行う。アシエンダの構成員は,19世紀中葉のメキシコの例でみると,地主の代理である支配人,司祭,管理人,正書記,経理士などのエリート層,人夫頭,書記,教師,番人などの中間職,ペオン,下働き人夫などの農場労働者である。…

【ブラジル】より

…これは合衆国が1924年に排日法を成立させ日本人移民を締め出した結果である。全体の9割はコーヒー農場のコロノcolono(契約労働者)として移住した。95%はブラジルの生活を農業で開始している。…

【ラテン・アメリカ】より

…ブラジルにおいては,セズマリア制は1850年の土地法によって完全に廃止され,さらに88年に奴隷制度も廃止された。この時期に南部のサン・パウロ州に発展したコーヒー生産は,前期においては奴隷労働に依拠する領主経営的大農場(ファゼンダ)で行われていたが,19世紀末からは,移民の導入による請負契約労働者(コロノ)に移行し,20世紀には,内陸フロンティアでは移民による,おもに家族労働に依拠する独立小生産者層と,その分化による大農場の成立をみるようになった。 ラテン・アメリカの大土地所有制ラティフンディオの起源を,19世紀における資本主義の発展期に求める説は,上述の歴史的事実に依拠している。…

※「コロノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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