日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンザレス」の意味・わかりやすい解説
ゴンザレス(Luis Emilio Gonzalez)
ごんざれす
Luis Emilio Gonzalez
(1967― )
アメリカのプロ野球選手(右投左打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のヒューストン・アストロズ、シカゴ・カブス、デトロイト・タイガース、アリゾナ・ダイヤモンドバックスで外野手としてプレー。2001年にダイヤモンドバックスが初めてワールド・シリーズを制覇したときは、打線の中心として活躍した。
9月3日、フロリダ州タンパで生まれる。南アラバマ大学から1988年、ドラフト4巡目指名を受けてアストロズに入団した。1990年に大リーグへデビューし、翌年からレギュラーとなるが、1993年の打率3割、ホームラン15本、打点72、盗塁20が自己最高の成績という中堅選手であった。1995年のシーズン途中でカブスへトレードされ、97年にアストロズ復帰、翌年はタイガースとチームを渡り歩いた。ダイヤモンドバックスへ加入した1999年にはリーグ最多の206安打を放ち、打率3割3分6厘、打点111の好成績をマーク、2000年にはホームラン31本を放ち、初めて打率3割30本塁打100打点の大台にのせ、サイクルヒットも記録した。2001年にはさらに、球団新記録のホームラン57本、同タイ記録の打点142をあげ、チームの優勝に大きく貢献した。ニューヨーク・ヤンキースとのワールド・シリーズでは、最終第7戦にサヨナラヒットを打ち、史上最速となる球団創設4年目での世界一を決めた。2002年はやや不調で打率は3割を切り、ホームラン30本には届かなかったが、打点103で4年連続の100打点を達成した。2003年は打率を3割の大台にのせ、5年連続の100打点もマークする活躍でオールスターに選出された。2004年の途中に肘(ひじ)を痛めて以降、打撃成績は下降ぎみであったが、06年4月18日対サンフランシスコ・ジャイアンツ戦で通算500本目の二塁打を記録。史上21人目の「通算300本塁打、500二塁打」を達成した。シーズン終了後、FA(フリーエージェント)でロサンゼルス・ドジャースに移籍した。
[出村義和]
2007年以降
ドジャースでプレーした2007年は139試合に出場し、打率2割7分8厘、打点68。9月には通算2500本安打を記録した。13年連続2桁ホームランはクリアしたが、前年と同数の15本で終わった。2008年からはフロリダ・マーリンズでプレー。
2007年までの通算成績は、出場試合2455、安打2502、打率2割8分4厘、本塁打346、打点1392。獲得したおもなタイトルは、最多安打1回。
[編集部]
ゴンザレス(Juan Alberto Vazquez Gonzalez)
ごんざれす
Juan Alberto Vazquez Gonzalez
(1969― )
アメリカのプロ野球選手(右投右打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のテキサス・レンジャーズ、デトロイト・タイガース、クリーブランド・インディアンスで外野手としてプレー。高打率と豪打を両立させるスラッガーである。
10月16日、プエルト・リコのベガ・バーヤで生まれる。地元のベガ・バーヤ高から1986年にドラフト外でレンジャーズに入団。1989年に大リーグ昇格を果たし、91年にはレギュラーとして定着した。1992年にはホームラン43本、93年は46本を打って2年連続本塁打王となった。1996年には打率3割1分4厘、ホームラン47本、打点144の好成績でレンジャーズの球団初優勝に貢献し、無冠ながら最優秀選手(MVP)に選ばれた。1998年は自己最多となる打点157で打点王を獲得し、またも地区優勝の原動力となってMVPを受賞した。1999年にも地区優勝を経験。しかし、いずれの年もディビジョン・シリーズでニューヨーク・ヤンキースに敗れた。2000年はタイガースに移籍したが、故障の影響などで振るわなかった。2001年はインディアンスに加入。強打で地区優勝に貢献した。2002年からは古巣のレンジャーズに戻ったが、同年は故障がちで70試合にしか出場できなかった。
[山下 健]
2003年以降
2003年は外野手、指名打者として82試合に出場、24本のホームランを打ち、自身11回目の本塁打20本以上を記録した。2004年はカンザスシティ・ロイヤルズでプレーしたが、出場はわずか33試合で、打率2割7分6厘、ホームラン5本、打点17に終わった。2005年にはふたたびインディアンスへ移籍したが、足の故障で1試合1打数0安打に終わり、以降、大リーグでの出場はない。
2005年までの通算成績は、出場試合1689、安打1936、打率2割9分5厘、本塁打434、打点1404。獲得したおもなタイトルは、本塁打王2回、打点王1回、MVP2回。
[編集部]
ゴンザレス(N. V. M. Gonzales)
ごんざれす
N. V. M. Gonzales
(1917―1999)
フィリピンの英語作家。英語短編小説の名手といわれ、流麗で熟慮された文体と緻密(ちみつ)な描写を特徴とした。代表作として、マニラに出てから文壇登場までを描いた自伝的小説『四月の風』(1940)、幼少年期の体験を生かして故郷ミンドロ島の住民とその生活を描いた短編『七つの丘を越えて』(1947)、マニラやアメリカに住む中産階級フィリピン人の生活と葛藤(かっとう)を取り上げた『ミンドロ島の向うに』がある。一貫して、フィリピン・インテリのアイデンティティ(主体性)の問題を扱い、それを確立できないのは、西欧教育から学んだ価値観が開発途上国の現実に即さないこと、および故郷の喪失に起因すると示唆した。その問題を提示したのが長編『恵みの時』(1956)、『竹の踊り子』(1959)である。国立フィリピン大学で教鞭(きょうべん)をとった後はアメリカに在住した。
[山下美知子・菅家健一]