ゴーレム(その他表記)Golem

改訂新版 世界大百科事典 「ゴーレム」の意味・わかりやすい解説

ゴーレム
Golem

もとヘブライ語で〈形なきもの〉の意。ユダヤ教経典〈タルムード〉では,神が大地からアダムを生み出す前の胎児を指した。後に伝説化され,胎児のままの泥人形カバラ呪文によって動き出すが,額のemeth(真理)という護符の一字を取りさるとmeth(彼ハ死セリ)となって崩壊し,土に戻ったという。ゴーレム伝説の翻案は多いが,その近代版としてはG.マイリンクの小説《ゴーレム》(1915),P.ウェゲナーの映画《巨人ゴーレム》(1914)などがあり,〈フランケンシュタインもの〉と並ぶテーマとなっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 種村

世界大百科事典(旧版)内のゴーレムの言及

【マイリンク】より

…プロテスタントから仏教へ改宗。オカルティズムや錬金術に関心を抱き,長年暮らした古都プラハの神秘的な雰囲気の中から,小説《ゴーレム》(1915),《緑の顔》(1916)など,幻想的な怪奇文学を生み出した。グロテスクで荒唐無稽な空想の中には,転換期における市民社会や官僚世界の物質主義,合理主義の俗物に対する挑戦的な風刺が見いだされる。…

【ロボット】より


[歴史]
 最古のロボットといえるのは,ギリシア神話の名匠ダイダロス,あるいは鍛冶神ヘファイストスの手になると伝えられる青銅の怪物タロスであろう。くだって中世にはユダヤ伝説の巨人ゴーレムが登場する。ただし前者の活力源は牡牛の血液であり,後者も魔法で動く泥人形にすぎなかった。…

※「ゴーレム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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