ウェゲナー(読み)うぇげなー(英語表記)Alfred Lothar Wegener

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェゲナー」の意味・わかりやすい解説

ウェゲナー
うぇげなー
Alfred Lothar Wegener
(1880―1930)

ドイツの気象・地球物理学者。ベルリン大学、ハイデルベルク大学で天文学、気象学を学び、ドイツ海洋気象台理論気象部長兼ハンブルク大学教授(1919)、グラーツ大学教授(1924)などを歴任した。グリーンランド探検を3回にわたって行い、3回目の帰途遭難死亡した。1911年には大気構造論や大気熱力学理論を発表し、1912年には大陸移動説を唱え、1915年『大陸大洋起源』を著して地質学界波紋を投じた。大西洋両岸の海岸線の相補性、海を隔てた大陸の古生物の共通性、赤道近くに存在する氷河遺跡などから、古生代末の原始大陸が、分裂、移動して今日の大陸の分布となったと考えた。この説は、大陸を移動させる原動力としてどんな力が考えられるか、などの不明確な点を残していたので長い間顧みられなかったが、1960年代以後、古地磁気学の研究やマントル熱対流論などの地球物理学の進展に伴い、にわかに評価されるようになった。

[藤井陽一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェゲナー」の意味・わかりやすい解説

ウェゲナー
Wegener, Alfred Lothar

[生]1880.11.1. ドイツ,ベルリン
[没]1930.11. デンマーク領グリーンランド
ドイツの地質学者,気象学者。ベルリン大学とハイデルベルク大学で天文学,気象学を学び,1919年ハンブルク大学教授,1924年グラーツ大学教授。4回にわたってグリーンランド探検隊に加わり,極地の気団を研究。大気に関する運動力学,熱力学,光学,音響学的研究で知られているが,特に有名なのは,1912年の大陸移動説の提唱である。当時は学界で認められず,不遇のうちにグリーンランド探検中に遭難死した。主著に『大陸と海洋の起源』Die Entstehung der Kontinente und Ozeane(1915)がある。

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