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呪文 じゅもんspells

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

呪文
じゅもん
spells

(まじない) や,呪術的行為のなかで繰返し唱えられる決り文句。神秘性を高めるため意味不明の文句が使用されることも多い。一般に呪文は呪術的行為のきわめて重要な要素とみなされている。呪術の効力は古くから伝承されてきた呪文にすべてそなわっていると考える部族社会では,たとえばトロブリアンド島民のメグワのように,呪文を意味する語が呪術全体をさす場合もある。呪文の言葉自体は,必ずしも伝承者にその正確な意味が知られているとはかぎらないが,多くの場合,唱えられる目的,たとえば病気の治癒,降雨,豊作などと関連をもっている。呪文は強制的,命令的なものが多いが,説得的性格のものもある。日本では秘法として伝授されるものが多く,密教,修験道などにおいて多く用いられる。 (→呪術師 )  

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デジタル大辞泉の解説

じゅ‐もん【呪文】

修験道陰陽道などで唱えるまじないの文句。→呪(じゅ)
呪術的効果を望んで唱える言葉。一定のきまり文句の反復が多い。「あやしげな呪文を唱える」

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百科事典マイペディアの解説

呪文【じゅもん】

呪術的な効果を起こすために唱えられる言葉。英語のspellに相当。厳密な伝統に基づいて一字一句まで決められており,儀礼をともなうことも多い。一般に不可解な言葉や聖音が用いられることが多く,言語そのものが超自然的な力をもつとする信仰に基づく。
→関連項目

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅもん【呪文】

呪術的な効果を生むために唱えられる一定の決り文句で,英語のspellにあたる。病気・災厄の,作業の成功,祝福(ことほぎ),呪詛(のろい)など,それぞれの効果のための呪文がある。呪文を伝承のとおりにまちがいなく唱えないと効果がないとする社会と,個人が自分の判断で言葉を変えてもよいとする社会がある。前者はメラネシアマオリ族やトロブリアンド島民のように呪文が呪術の中心的効力とされる社会であり,後者は呪文の効果が儀礼的行為や呪具あるいは呪術師の能力によるとされる社会である。

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大辞林 第三版の解説

じゅもん【呪文】

一定の呪術的行為のもとにそれを唱えると神秘的な力が現れるという言葉・文句。まじない・のろいの文句。 「 -をとなえる」
密教・修験道・陰陽道おんようどうなどで唱えるまじない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

呪文
じゅもん

神秘的、呪術的な効果をもつと信じられていることば。たいてい定型化されており、これを唱えることによって幸運、幸福を招いたり、災禍を防ぐことができると考えられている。ときには敵に病気や死などの不幸を与えるために使われる。メラネシアでは呪文が呪術行為の中心をなしており、たとえばトロブリアンド島では、メグワという語は呪文であるとともに呪術一般をもさし、なにかをしようとするときは、ほとんどかならず呪文が唱えられる。戦争に行くときには槍(やり)の穂先に呪文をかけて切れをよくし、盾には敵の槍が突き入らないように呪文をかける。主作物であるヤムイモは呪文によって大きくりっぱなものになると考えている。彼らにとって重要な意味をもつ遠洋航海に使うカヌーをつくるときも、呪文を唱えなければならない。呪文はそれぞれの目的によって数多くの種類があり、人々はそれらを正確に覚えなければならない。一語でも誤って唱えると、効力を失うとされている。
 一般に呪文を唱えることは呪術的行為の一部であり、呪文は単独では効果がなく、呪的儀礼全体のなかで、ときには呪具を併用することによって、効力を生じると考えられている。しかし、呪文、儀礼全体、呪具のどれがもっとも重視されるかは、社会によって異なり、トロブリアンド島のようにメラネシアの多くでは呪文が重視され、一語一句正確に唱えることが要求される。アフリカではむしろ儀礼全体、あるいは呪具が強調されることが多く、呪文もたいてい唱えられるが、ことばの一部を変えてもよいとされることが少なくない。呪文に対する信仰は、ことばのもつ力に対する信仰に基づいている。また呪文は、神秘的であればあるほど効力をもつと考えられるので、呪文を秘密にしたり、呪文のことばも、日常では使わない古いことばであったり、難解なことばであったりする。日本の民間信仰でしばしば使われる呪文の「アビラウンケンソワカ」は本来仏教のことば「阿卑羅吽欠莎婆訶」であるが、ほとんどの人はその意味を知らずに使っているのであり、むしろ「ちちんぷいぷい」と同じように、ことばの意味が不明であるということが、このことばに神秘性を与え、効力があると考えるのである。[板橋作美]

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世界大百科事典内の呪文の言及

【アブラカダブラ】より

…西洋魔術において,とくにユダヤ人により伝統的に用いられてきた呪文(図)。病気や厄災を払うのに効き目があるとされ,17世紀ロンドンのペスト流行の際にも使われたと言う。…

【祈禱】より

…神学者や宗教家の見解にもよくみられるし,またかつては未開宗教の研究者にも同様の見解が有力だった。そこでは,具体的効果を期待するものは,呪術ないし呪文であるとされる。そして呪文から祈禱および祈りへという進化が論じられた。…

【呪術】より


[呪術の要因]
 呪術を成り立たせているものは具体的には呪的行為と呪物(呪具)であり,そしてそれを観念的に支えているのは呪的信仰体系や呪的思考様式である。呪的行為には身体的動作だけでなく言葉による呪術,つまり呪文も含まれる。呪的行為はたいてい定型化されており,型どおりにすることによって呪的効果が生じると考えられ,逆にその手順を誤ると効きめがないとされる場合が多い。…

【真言】より

…密教において,もろもろの仏・菩薩あるいは諸天に呼びかけて祈請し,あるいは儀式に効力を賦与するために唱える呪文。サンスクリットではマントラmantra。…

【呪】より

…呪力は事物の中に存在し,そこから独立できないでいると信じられる超自然的な力である。〈くわばらくわばら〉という雷よけの呪文,〈あした天気になーれ〉という子どもの呪文や,〈成れ成れ,成らねば切るぞ〉という成木責めの呪文は,自然や果樹の精霊に言葉のもつ呪力(言霊(ことだま))によって直接語りかけるものである。成木責めなどが直接果樹に働きかけるのに対して,同じ予祝儀礼でも小正月の模擬田植や粟穂稗穂(あわぼひえぼ),繭玉(まゆだま)などのモノツクリ行事では,むしろ望ましい結果を模擬的に表現することで間接的に自然にかくあれかしと働きかけている。…

※「呪文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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