サイクロデキストリン(その他表記)cyclo-dextrin; CD

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイクロデキストリン」の意味・わかりやすい解説

サイクロデキストリン
cyclo-dextrin; CD

6個から 10個ほどのグルコース環状に結合した物質。グルコースが6個のαCD,7個のβCD,8個のγCDの3種類が商業生産されている。 CDは,特殊な微生物が生産する酵素の作用により,デンプンから作られる。環の内側疎水性外側は親水性であるため,環の内部に油性物質を取り込む作用がある。この性質を利用して,水に溶けにくい物質を水に溶けやすくしたり,不安定な物質を安定化するなど多くの用途があり,フリーズドライ紅茶やチューインガムなどに使われている。そのほか,医薬品を CDの環の中に入れて,医薬品投与に使う研究や,分子内の空洞を酵素の基質取り込み部位に利用した人工酵素のモデルとしての研究も盛んに行なわれている。

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