ペルー南高原、クスコ市北方の丘につくられたインカ期の大建造物。3層のジグザグの石壁よりなる階段状の前面と、丘の頂上を平坦(へいたん)にして建てた居住区、石室よりなる。石壁は全長約400メートルあり、多くの巨石を一分のすきまもなく組み合わせてつくられている。16世紀のスペイン人記録者によれば、石壁は最上段のものがもっとも高く、背後に3本の高い塔があったというが、クスコ占領後、新市街をつくるための石材として、スペイン人が砦(とりで)の上部を取り払ったため、現在では基底部が残っているにすぎない。記録者シエサ・デ・レオンによれば、第10代インカ、トゥパク・インカ・ユパンキの時代に倉庫としてつくられたというが、1536年マンコ・インカが反乱を起こしたときには、ここを砦として使用し、スペイン人との間に壮絶な攻防戦を繰り広げた。
[増田義郎]
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