改訂新版 世界大百科事典 「サクディナー制」の意味・わかりやすい解説
サクディナー制 (サクディナーせい)
サンスクリット語śakti(力,威力)とタイ語na(水田)の混成語で,国王が個人に付与した威信を,水田の面積をもって示すタイ国の伝統的制度。奴隷,乞食の5ライ(1ライは1600m2)に始まり,副王の10万ライをもって最高とする。国王のサクディナーsakdinaはない。水田割替制にその起源を求める説があるが,面積が何を意味するかは不明である。《三印法典》所収の〈位階田法〉(1466)はその最も発達した形を示すものと考えられる。14世紀末の碑文に現れて以来,1932年の立憲革命によって廃止されるまで500年以上にわたって存続し,社会的身分の高低を示す役割を果たした。〈賠償金定率法〉(1593)には,各種の違法行為に課される賠償金の額が,加害者および被害者のサクディナーにしたがい詳細に規定されている。正妻は夫の半分,側妻には4分の1のサクディナーが与えられていた。
執筆者:石井 米雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報