日本大百科全書(ニッポニカ) 「サナギタケ」の意味・わかりやすい解説
サナギタケ
さなぎたけ / 蛹茸
[学] Cordyceps militaris Link.
子嚢(しのう)菌類、バッカクキン目バッカクキン科のキノコ。濃いオレンジ色ないしは朱黄色で、高さ3~6センチメートルの棍棒(こんぼう)状。頭と柄(え)の2部からなり、頭部はほぼ紡錘形で、表面は多数の細かい粒状の突起で覆われる。突起は組織内に埋まるとっくり形の被子器の開口部で、中につくられる子嚢胞子はここから放出される。胞子は初め細長い線状で、子嚢内に8本できるが、成熟時には細かくちぎれ、4~6×1マイクロメートルの二次胞子となって飛散する。鱗翅(りんし)類の蛹(さなぎ)に寄生する冬虫夏草の一種で、森林害虫の天敵として利用する研究も進められている。日本各地を含め、世界的に分布する。
[今関六也]